「信頼できるAI」で世界最先端の利活用国へ AI政策の実績
実務研修ではまず、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 人工知能政策推進室 総括参事官 菅田洋一氏が登壇。「信頼できるAI」の実装によって、AI駆動型国家として世界をリードする姿を示した。
内閣府科学技術・イノベーション推進事務局 人工知能政策推進室 総括参事官 菅田洋一氏
課題先進国日本 AIへの期待
日本では東京を除く道府県で30年間に生産年齢人口が約2割減り、設備投資は横ばい、実質賃金も30年で約3%の上昇にとどまる。この現状に対し、ロボットやAIの導入による労働時間の削減効果は平均17.2%(就業者換算で約1200万人)と試算され、人手不足の解消や、生産性向上を通じた賃金・投資の増加に寄与する。
エージェントAIや、現実世界でロボット等を動かすフィジカルAIの開発も進む中、「産業用ロボットで培った技術や、現場の暗黙知の学習等は日本の強みが生かされる分野です。最新の技術動向を見れば、AIが日本の課題解決と再起に寄与するという期待は大きくなります」と菅田氏は述べる。
AI活用で世界に追いつくために
一方で、世界と比較すれば、生成AIの個人利用率では日本は19.1%と、世界で53位にとどまる(Microsoft「Global AI Adoption in 2025—A Widening Digital Divide」に基づく)。AI開発をめぐっては米国と中国がそれぞれ国家戦略を掲げて競い合い、開発力と社会実装を加速させている。民間投資額でも米国が突出し、日本は米国の250分の1以下だ。
「今の日本の状況では、AIのリスクを警戒して規制を強化し、AI活用や民間企業のAI投資がさらに縮小するような事態を避けなければなりません。リスク管理と同時に、利活用を積極的に推進する必要があります」。
リスク管理を前提としたAIの開発・活用を目指す
出典:内閣府
信頼できるAIと利活用
政府は昨年、AI政策の司令塔となるAI戦略本部を設け、促進法であるAI法、AI基本計画、適正性確保の指針を一体で整えた。基本計画は「信頼できるAI」による「日本再起」を掲げ、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」を目指す。
柱は「AIを使う」(AI利活用の加速的推進)、「AIを創る」(AI開発力の戦略的強化)、「AIの信頼性を高める」(AIガバナンスの主導)、「AIと協働する」(AI社会に向けた継続的変革)の四つの基本方針だ。同時に、技術的な進歩の速さを前提に、常に基本計画を見直すことも不可欠だ。今後、投資目標、制度改革、人づくり、データ戦略などを含む官民投資ロードマップを盛り込む等、AI基本計画の充実を図っていくという。
こうした中、最も重要なのは「まず使う」ことだと菅田氏は強調する。
「日本が誇る自動車産業も最初は海外製を輸入し、学ぶことから始まりました。AIでも現在は米国や中国に遅れをとっていますが、『先ず隗より始めよ』の精神で使い、学んで知見を積み上げれば、世界有数のAI駆動型国家になることができるはずです。政府が率先して使い、自治体や企業に知見を共有し、実装に伴走していきます」。