生産性向上へ、自治体の全職員が今すぐ始めるべき「AI駆動開発」
AIはすでに企業や自治体の業務を代行し始めている。なかでもAIを活用したシステム開発「AI駆動開発」こそ、全職員が今すぐ取り組むべき最大の生産性向上策だとグラファー代表の石井大地氏は語る。
株式会社グラファー 代表取締役 石井大地氏
AIが業務を代行する時代の到来
AIをめぐる近年の最大の変化は、AIが実際に業務をこなせるようになったことだ。生成AIを活用した企業DX支援と行政DXソリューションを提供するグラファー代表の石井大地氏は、これを「AI革命の第2幕」と呼ぶ。
「かつてはチャットで質問すれば答えが返るという使い方が中心でしたが、今はAIが人に代わり業務を行うAIエージェントが一般化しました」
その代表例が、自治体で広がるAIによる電話応対だ。縦割りの役所では、住民の問い合わせが「うちの課ではない」とたらい回しにされ、確定申告期などの繁忙期には定型質問への回答が繰り返されてきた。こうした業務をAIが肩代わりし、電話を受けて用件を理解し、適切な課へ繋ぐほか、定型質問にはそのまま回答する。同社が手がけた香川県高松市の事例では、AIで問い合わせ応対の65%が完結した。
「案件によっては9割以上がAIだけで完了します。むしろ『電話が繋がらない』という住民の最大のストレスが解消されましたし、土日や夜間も問い合わせ可能になったので、住民サービスはかえって向上しました」
開発者でなくともAI駆動開発を
では、AIはどう使うのが最も効果的か。石井氏は「AI×プログラミングが最も生産性を上げる」と断言する。
「直近1~2年でAIが最も能力を伸ばしたのはプログラミング領域です。コーディングエージェントの実用化で、かつて3カ月かけた開発が1日で終わります。人がコードを書かないことが当たり前になったので、組織のあり方そのものも変わっていきます」
重要なのは、これが開発者だけの話ではない点だ。グラファーでは2023年から全社員がAIを使った開発に取り組み、ビジネス職やコーポレート職の社員も日常的にプログラミングを行っている。顧客企業でも、本来開発を担わない情報システム部門の職員が業務ツールを自作し、数十個が稼働している例がある。また、ある大企業では、従来なら数十名が数年かけ数十億円を投じていた基幹システムの刷新を、数名・1年・数億円の規模で進めているという。石井氏はその効果を「生産性は2000%上がる」と表現する。
「20%、30%上がったという言葉には、もう反応しないでください。外注すれば1000万円かかる社内ツールも、担当者がAIで1~2日で作れば、その人の1日分の人件費で済みます。だから2000%は大げさではありません」
新規のシステム開発も、かつては十数名で要件定義から作り上げたが、今は1人、多くても2~3人が3カ月ほどで形にできるという。
「だからこそ、私はまずAIファーストで考えることを勧めます。何をするにもまずAIに任せられないかを考え、できないことだけを人間が担うのです。働く人は全員、仕事でもプライベートでも、何らかの形でAIを使って行動を変えてほしいです。空いた時間は、人間にしかできない判断や品質の担保、顧客との対話に充てればよいのです」
ただし、AIが書いたコードにもセキュリティやコンプライアンス上の問題は生じ得る。
「人が作ったシステムを人がレビューするのと同じく、最終的な品質は人間が責任を持って担保する。そこは今までと変わりません。近年は機密情報をクラウドに渡せない業務でも、手元のPCで動く『ローカルLLM』の実用化が進み、行政の審査業務を自動化する実証も始まっています。ですから、まずはAIに触れることから始めてみてほしいです」
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