プロジェクト研究で大分の資源を生かし 新たな価値を生み出す

大分の資源を生かし
新たな価値を生み出す

事業構想研究所では、全国30地域以上でプロジェクト研究を開講し、地域の人材育成、新規事業の立ち上げを進めている。大分県では、大分合同新聞社の共催にて「大分新事業開発プロジェクト研究」を2021年より開講し、3期目を迎える。

「大分新事業開発プロジェクト研究」の研究会の様子

大分新事業開発プロジェクト研究に、2期連続で社員を派遣し、新事業構想とそれを担う人財育成に取り組むトキハの修了生2名に、構想の背景や今後の展望を聞いた。

(右)トキハ 執行役員 営業戦略部
部長 松本 始
(大分新事業開発プロジェクト研究(第1期))
(左)トキハ 営業戦略部
デジタルマーケティンググループ グループマネジャー
三浦 亮一
(大分新事業開発プロジェクト研究(第2期))

── 構想の着眼点と事業構想計画についてお聞かせください。

松本 当時、大分空港が宇宙港になるという大きなトピックがあった中、宇宙は属性がなく幅広い方々に喜んでもらえるコンテンツでした。企業理念にある「お客様の豊かな暮らしとふるさとの文化の向上に貢献する」という百貨店の使命として、宇宙への興味や関心を高めるため、宇宙をメインに据えて事業を考えようとスタートしました。そこで、修了後にはまず、「宇宙を体感しよう!TOKIWA SPACE PARK」と題した催事イベントを13日間実施し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)からの資料展示をはじめ、360度3D、VR・ARなど最新技術も活用した体験型施設、本物の隕石に触れるコーナーも設置しました。イベントに協力いただいた企業には一緒にプロジェクト研究に参加した企業も多く含まれ、計26社に協賛企業として参画も頂きました。

宇宙イベントには多くの方が訪れ、子どもから手紙も届くなど盛況に終了した

研究員は発表し、ディスカッションしながら事業構想計画の作成を進める

三浦 私は構想にあたり、百貨店における期間、場所などの制約を取っ払って何か企画ができないかと考え、「トキハメタミュージアム」と題した仮想空間でのサービスを構想しました。現状リアル店舗の入店客数が減少する中、店頭での接客は百貨店の一番大事な部分・資産でもあるので来店客数を増やすことでその機会を創出できる企画として考え、着目したのがアート作品です。大分県内には美術館が少なく、美術作品を発表する場がほとんどありません。そこでトキハ本店の中に仮想空間への入口を設置し自分の端末でアートを鑑賞、館内を回遊する仕組みを作り、気に入った作品の一部はトキネットを介して購入もできるコンテンツを考えました。デジタル空間での企画のため、物産展などと違い会場装飾も不要でSDGsにも繋がる取り組みになると考えています。

── プロジェクト研究を通じて得られたこと、またどのような学びが得られましたか。

松本 プロジェクト研究では個人の事業構想と並行して、大分の活性化につながるグループ共創事業を構想できたことが学びになりました。グループ構想では、大分県全体を銀河系に見立て、宇宙をキーワードにテーマパークやアカデミーを活用し、県内の周遊性を高め、観光客の増加に繋げる枠組みを構想しました。その中で当社は、トキハ別府店を「Galaxy Port」として宇宙体験・学習をリアルに楽しめる施設として展開することを構想しています。各企業のリソースを掛け算することで、より大きく新しい事業の構想を目指せると感じています。

三浦 プロジェクトメンバーとの繋がりですね。講義は自社での既存業務との両立で大変な面もありましたが、とても充実した日々でした。修了後にも定期的に連絡を取って、四半期に1回は集まって構想のブレストをしようという話もしていたので、6月に先生も交えて1回目を実施しました。またプロジェクト中は「長崎新価値創出プロジェクト研究」との合同講義も2回あり、大分とは異なるメンバーや課題にも触れられたことが刺激と気づきにもつながりました。

── 構想実現に向けた計画や展望もお聞かせください。

松本 将来的には大分県内企業や自治体も巻き込み、大分県内全域での展開や、宇宙に関連する各都道県との連携による国内交流人口の増加、海外との連携によるインバウンドの増加にも繋げていきたいです。

三浦 当社は来年で創立90周年を迎えるため、周年事業として実現したいと考えています。まだいくつか課題もあるため、実現に向けてブラッシュアップを重ねていきます。

 

プロジェクト研究

プロジェクト研究は、事業構想大学院大学 修士課程のカリキュラムのエッセンスを活かし、研究参加者の新たな事業構想と事業計画構築を行う1年間の研究会です。

担当教授が1年間を通じて、多彩なゲストを招きつつコーディネートとファシリテーションを行い、研究員の知見を高めながら推進していきます。

プロジェクト研究 概要

研究会:定例研究会(1回4時間、隔週24回開催、共同研究会年6回)等

形式:テーマ型/一社型

目的:新規事業、既存事業の再構築、地域活性などの構想・構想計画構築

定員:10〜15名

主担当教員:事業経験豊富な実務家教員

事業構想セミナー・説明会

セミナー、プロジェクト研究の説明会を実施しています。

宮崎 新事業開発プロジェクト研究(第2期)
 7/18(木)11:00~ リアル・オンライン
 7/24(水)13:00~ オンライン
郡山新事業開発プロジェクト研究(第2期)
 7/11(木) 18:00~ オンライン
 7/16(火)18:00~ オンライン

詳細・申込は事業構想大学院大学公式ホームページより