人口世界一の市場が強み インドのスタートアップ事情

インドのスタートアップ・エコシステムは、2010年以降、急速に成長してきた。背景には、才能ある人材の集積や、起業家のエネルギー、政府の支援、資金調達が容易になったこと、ロールモデルの増加、バリューチェーンにおいてテクノロジーが上位に位置づけられるようになったことなど、多くの要因がある。

2023年・12億人が暮らすインドの
スタートアップ・エコシステム

スタートアップのエコシステムにとって最高の動機付けは、ユニコーン企業の出現だ。インドにおけるユニコーン企業数の試算は様々な主体が実施しているが、現状ではおおむね105社と推定されている(2022年12月)。

インドにおいて、起業家の成長を支える要素は多様だ。初期段階の企業を支援するために、インドのスタートアップ・インキュベーターやアクセラレーターへの投資は大幅に増加している。特に、大学生の起業家に焦点を当てたスタートアップ・インキュベーターの成長は驚異的だ。PSG Coimbatore、VIT Vellore、SRM Chennaiなどのスタートアップ・インキュベーターは、起業家精神を刺激する上で素晴らしい仕事をしてきた。インドのスタートアップ・エコシステムの成長におけるもう1つの主要な要因は、起業家が利用できる資金が増えたこと。これは、インド国内のベンチャーキャピタル(VC)やエンジェル投資家の台頭、クラウドファンディング・プラットフォームの人気の高まりが一因となっている。インドの新興企業は、2021年に約400億ドルの資金を調達したが、2022年にはその金額は約420億ドルになる可能性がある。

またインド政府の「Make in India」イニシアチブ(2014年に開始された、インド国内での製造を促進する政策)は、世界市場におけるインドの競争力を高めるための取組だ。将来に向けた重要な成長分野は、リアルサイエンスとディープサイエンスのスタートアップである。これまでのイノベーションは、電子商取引(EC)とソフトウェアに偏っていたが、2022年には、ヘルスケアの提供と製薬、教育、農業、その他のセクターを含む多くの業界に分布している。その多くがより高度な科学に基づく事業を目指している。

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