脱炭素ライフスタイルのモデル事例 住宅太陽光活用に係る企業連携
気候変動対策が加速し、日本でも再生可能エネルギーの導入が進む。住宅用太陽光発電への関心は高く、またエネルギー価格の高騰により、経済的メリットが増加しているが、条件の複雑化が課題になっている。ユーザーに評価される発電システムの提供には、異なる業態間の連携がカギとなる。
導入がすすむ
住宅太陽光発電
気候変動は、地球上の人類全てが直面している最大の課題の一つであることは言うまでもない。2015年の国連気候変動枠組条約締約国会議第21回締約国会議(COP21)において、気候変動問題に関する国際的枠組みであるパリ協定が採択されて以降、国際的に対策が加速している。近年では、2023年にドバイで開催された第28回締約国会議(COP28)の成果として採択された決定文書で、2030年までに再エネの発電容量を世界全体で3倍にするという目標が掲げられた1。
日本では2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、再エネで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取る制度(固定価格買取制度:FIT制度)が2012年に創設され、再エネの導入が急速に進んでいる。その中で、身近な再エネである住宅での太陽光発電にも関心が高まっている。東京都をはじめとした一部の自治体では、新築住宅等への太陽光発電設備の設置が義務付けられ、その導入促進が図られているところである。
燃料高騰、政府の支援策で
住宅太陽光発電のメリットが増す
前述の通り、FIT制度による買取により再エネの導入がすすんできたところ、近年のエネルギー価格高騰もあり、その経済的メリットが高まっている。住宅に設置される一般的な容量である5kWの太陽光発電設備について、法定耐用年数等を考慮2して20年間使用した場合の便益(自家消費によるエネルギー費用削減分と売電収入)を試算すると、平均的な利用実態(ケース1)において174万円ほどと算出される。また、エコキュート(二酸化炭素を冷媒としたヒートポンプ給湯器)や電気自動車を活用して、太陽光発電設備で発電された電力の自家消費の割合を高めることで、経済的メリットも2~3割増となることが試算できる(図1)。
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