地域構想力を育む リカレント教育の実践

地域構想力を育む
リカレント教育の実践

事業構想大学院大学では、文部科学省令和6年度補正予算「リカレント教育エコシステム構築支援事業」において、地域の既存事業の変革を担う人材の育成を目的とした「地域構想力育成プログラム」を実施している。

仙台校では、地域構想力の基礎を体系的に学ぶ「基礎コ―ス」と、東北地方の地域企業・自治体との協働によるフィールドワークを通じて、現場での課題抽出やアイデアの構築、新規事業構想の検討など、実践的な学びを深める「実践コース」からプログラムを構成する。

大阪校、名古屋校、福岡校では、委員会やシンポジウムを通した地域の産官学関係者との議論や具体的なプログラムを展開する。九州では自立型人材育成をテーマとしたシンポジウムを開催し、「人」を起点とする地域創生や企業成長の考えを共有した。関西では、ポスト万博時代のイノベーション戦略をテーマに、地域から新たな事業構想を生み出すための議論が交わされた。東海地域においても、地域特性を踏まえた人材育成の方向性が議論され、具体的なプログラムに反映されている。

事業構想大学院大学は、社会人のリカレント教育の実践として、各地域のニーズに応じた教育研究プログラムを展開するとともに、地域の企業や自治体、教育機関との協働を通じて、実践的な学びの基盤を強化している。

今後も、地域とともに新たな価値を創出する人材の育成に取り組み、持続可能な地域社会の実現に貢献していく考えだ。

名古屋市内で開催したシンポジウム

岩手県北上市フィールドワーク

＜現役院生の声＞

観光まちづくり×事業構想
北海道島牧村地域おこし協力隊

木室 康隆（きむろ・やすたか）
島牧村地域おこし協力隊
仙台校14期生(2025年度入学)

製薬会社で支店長やマーケティングマネージャーを務めてきましたが、「人生は一度きり」と考えたとき、最後は地元・北海道で役立つことをしたいと思い、地域おこし協力隊に応募しました。サラリーマンとして働いてきましたので、地域活性やまちづくりのノウハウはありませんでした。ただ大学院で学び研究することで事業化も可能になるのではと感じ、島牧村での挑戦を決意しました。

2025年春に島牧村へ移住し、大学院入学と同時に地域おこし協力隊の活動も開始しました。地域の皆さんが私にとても期待してくださっていて、多くのことを教えてくださいます。農家さんからは「実際に体験してからやった方が、本当の困りごとがわかるよ」とアドバイスをもらい、毎日現場体験をさせてもらっています。大学院の授業が実践につながっている実感もあり、全国の院生との対話では、「お互い掛け算したら第三の答えが出る」というような発見が多いです。

正直、一歩踏み出す前は自身の年齢に不安もありました。ただ実際に行動をしてみて「自分はちゃんと変われるんだ」という覚悟を持っていれば、十分にやっていけると感じています。やりがいは必ずあります。ぜひ、思いがある方は挑戦してほしいと思います。

島牧村の特産品「アスパラガス」の収穫手伝い

道の駅ではさまざまなイベントを企画・開催する。写真は「夏祭り」の様子。