自治体総合フェアレポート 公民連携で解決する地域課題

行政の財源や人手不足に対する策の一つとして注目を集める「公民連携」。各地でさまざまな取り組みが進むが、協働・共創を成功させるための秘訣とは何か。自治体総合フェア2022の会場で行われたセッションの様子を紹介する。

左から、基調講演を行った日光市長・粉川 昭一氏、鎌倉市副市長・比留間 彰氏、ファイザー株式会社・五井 俊哉氏、アソビュー株式会社・彦坂 真依子氏

多様化する課題を前に
過疎に負けない「日光モデル」

少子高齢化に伴う人口減少は、地方財政にも大きな影響を与えている。経済や産業の縮小によって地方公共団体の税収が減る一方、社会保障費の増加など対応すべき課題は増えている。こうした状況を解決し、不確実な時代を勝ち残るために、行政と民間企業による共創・公民連携にいっそう注目が集まっている。

イベントは、日光市長の粉川昭一氏による基調講演から始まった。日光東照宮や鬼怒川温泉など日本有数の観光地を擁する日光市だが、観光産業が盛んだからこそコロナ禍の影響は大きく、さらに逼迫する財政も大きな課題だ。市長就任2年目を迎えた粉川氏は、「すべての行政サービスを市単体で行うのはもはや困難」と率直に明かす。「SDGsにも掲げられているパートナーシップを進め、民間企業のサービスやノウハウの活用が求められています」。

日光市は2015年度に『PPP(公民連携)活用指針』を策定し、民間企業や大学、NPOなどとの協定を進めてきた。その1つとして紹介されたのが、日本郵便との包括連携協定による『ヴァーチャル相談窓口』だ。過疎地域の住民が、最寄りの郵便局に設置された専用タブレットを通し、市職員と直接さまざまな相談ができる仕組みだ。「新たな公共施設を建てることなく、行政サービスの空白地帯を埋められる。総務省でも『日光モデル』として注目いただいています」と粉川氏は胸を張る。

以前は地元企業の社長を務め、NPO活動の経験もある粉川氏は、公民それぞれの強み・弱みをよく知るからこそ、身をもって連携の重要性を感じているという。「持続可能な日光市を創り上げるために、なおいっそうの公民連携を進めたい」と締めくくった。

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