スマート農機メーカー対決! クボタ VS. ヤンマー HD

農業人口の高齢化や減少が課題となる中、ロボット、AI、IoTなど先端技術を用いて農作業を自動化・省力化する「スマート農業」が注目を浴びている。農機メーカーのトップ2で、スマート農機の開発・製造にも力を入れるクボタとヤンマーを比較する。

新しい農業に向けて「スマート農業」を追求する農機トップ2社

国内農業は、就農人口の減少や高齢化をはじめ、きわめて深刻な課題に直面している。一方海外でも、世界人口の増加に伴う食糧難、環境負荷増大など、農業を取り巻く課題は数多く、複雑だ。そうした諸課題を解決し、持続可能で生産性の高い農業を実現する上で注目されるのが、ICT(情報通信技術)やAIなど、先端技術を駆使して農作業の効率化・省力化を図る「スマート農業」だ。国内外の農業を支える日本の農機メーカートップ2、クボタとヤンマーも、スマート農業による農業DXを進めている。

クボタの創業は1890年。久保田権四郎が久保田鉄工所を創業し、鋳物の製造・販売を始めて以降、農工用発動機やポンプなど広く産業用機械事業へと領域を拡大してきた。今日、食料、水、環境に関わる様々な製品を世に送るトップランナーとして世界120ヵ国以上で事業を展開し、トラクターの世界総生産台数は累計560万台以上、エンジンの世界総生産台数は3000万基以上にのぼる。

クボタが展開する農業ソリューションには3つのアプローチがある。1つめは農機の自動化・無人化で、農林水産省の掲げる3段階の省力化ステップに沿って研究開発を進めており、ステップ1「搭乗状態での自動操舵」を経て、ステップ2「有人監視での自動化・無人化」での製品化を果たし、既にトラクター、コンバインなど全農機で無人運転仕様を揃えた。現在は、ステップ3「遠隔監視での完全無人運転」実現に向けて産官学連携を強化している。2つめのアプローチはデータの活用で、農業経営・栽培管理を見える化する「精密農業」システム「FMIS」を展開する。ICT対応農機が収集したデータを活用して作物情報の可視化や作業効率向上を図り、誰もが質の高い作物を生産できる農業を目指す。3つめは環境負荷低減で、自動化や精密農業を温室効果ガス排出抑制につなげ、他の事業領域の技術も組み合わせてサーキュラーエコノミー構築を図る。

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