脱炭素時代の大林組の挑戦 効率的な水素活用を促す

大林組は、複数の需要先へ効率的に供給する仕組みづくりから、水素ビジネスの事業化に取り組んでいる。再生可能エネルギーを用いて作られた水素を、地域社会で活用することを目指し、ゼネコン大手が水素事業に取り組んだ経緯と、「TEAM EXPO 2025」に参画した狙いを、島氏と門重氏に聞いた。
聞き手:小宮信彦(事業構想大学院大学特任教授 電通 ソリューション・デザイン局 2025事業推進グループ統括 チーフ・ビジネス共創ディレクター)

大林組 本社技術本部スマートエネルギー・ソリューション部部長 島潔氏(右)、
同大阪本店大阪関西万博・IR室室長 門重学氏(左)

デマンドサイドからサプライヤーへ

小宮 ゼネコン大手の大林組が水素事業に取り組んだ経緯について教えてください。

島 エネルギー分野について、当社はこれまで需要家(エネルギーを利用する側)から仕事を受注し、省エネ等の技術を組み合わせて建築物を造るというデマンドサイドに立った事業を展開してきました。同時に、建築市場が縮小していくなかでそのやり方では成長は難しいと感じていました。2011年3月の東日本大震災で世の中のエネルギー構成が大きく変わろうとしていくタイミングをとらえれば、新規参入者がサプライヤーになれる可能性があると感じました。当社は、優れた商品や職人を自前で抱えているわけではありませんが、それらを束ね、効率的にマネジメントすることで付加価値を生み出してきました。そのノウハウを生かし、サプライサイドに挑戦しようと考えたのです。

安定供給が可能なエネルギー資源に乏しい日本がCO2排出削減を達成するためには、再生可能エネルギーをミックスして取り組まざるを得ません。そのなかでも電気を貯めておくことのできる水素の可能性に着目し、実証事業に参画していきました。

小宮 大きなビジネスモデルの転換であり大胆なチャレンジであったわけですが、社内の反応はいかがでしたか。

島 専門性が必要な領域でリスクをどうカバーするのか、株主にどう理解を得るのかなど、違和感を持つ経営層が多かったのが実状です。そのときわたしは50年前の液化天然ガスの普及を例に出しました。

公害に苦しんでいた日本が、石油に代わる資源として着目したのが海外で産出される天然ガスでした。ガスを液化してタンカーで運ぶため当時の価格は原油の10倍もし、普及は夢物語でした。その後オイルショックが到来し、コスト削減の研究も進んだことから経済合理性が出て一気に商用化しました。リードタイムは15~20年を要しましたが、水素についてもバックキャストで物事を考え、来たるべき社会に備えましょうという論理で説得しました。

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