道路舗装材メーカーのニチレキ 種播き精神で絶えず新たな価値を創造

道路舗装に使われるアスファルト乳剤や改質アスファルトなどで国内トップシェアを誇るニチレキ。同社は二酸化炭素排出削減を可能にする特殊改質アスファルトの開発や、道路点検のDX、環境配慮型の生産・物流基地の設置などの取り組みを通じて、脱炭素社会の実現や持続可能な成長を目指している。

小幡 学(ニチレキ 代表取締役社長)

アスファルト乳剤を主力に
数々の舗装材料を開発

ニチレキの創業者である池田英一氏は、1943年にアスファルトを用いた建築防水工事を行う日本瀝青化学工業所を興し、1949年に会社を設立。その後は日本の経済成長の中で必要となる道路網の整備に向け、独自に開発した「アスファルト乳剤」など舗装材料を中心に数々の製品を提供してきた。

「アスファルト乳剤は水の中にアスファルトを点在させて乳化させることで、加熱しなくても常温で扱えるようにした舗装材です。これによって、それまで加熱工事が一般的だったアスファルト舗装をより簡便に行えるようになり、戦後は砂利道がどんどん舗装に切り替わっていきました。そうして道路網の整備が進むにつれ、道路の維持も課題になりました。私たちは早くからそこに注目して補修用のニッチな製品を次々と生み出し、それらの使用方法を研究してきました」とニチレキ代表の小幡学氏は語る。

高度経済成長期に自動車交通が急成長し、交通事故が増加する「交通戦争」とも呼ばれる状況の中、ニチレキではアスファルトにゴムや樹脂等の様々な改質材を添加し、性能を高めて丈夫にした「改質アスファルト」の開発に成功した。

「従来のアスファルト舗装は夏場に高温になると軟らかくなり、『わだち掘れ』と呼ばれるへこみができて危険なほか、水はねもひどい状況でした。この問題を解決した当社の改質アスファルトはその後、全国でスタンダードになりました。また、改質アスファルトによって道路路面の排水や騒音も改善しました。特に排水の改善により、平成の初め頃には高速道路の事故は従来から85%程度減りました」

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