バズワード化する「メタバース」 デジタル生活圏として定着するか
2022年の重要キーワードであるメタバース。Metaを筆頭に大手テック企業が巨額の投資を行っており、Web3.0やブロックチェーンと共に議論されることも増えている。日本ではメタバース推進の産官学組織が発足した。メタバースの現状と展望をまとめた。
Metaが2021年末に一般公開したメタバース「Horizon Worlds」
インターネット上の仮想空間であるメタバース(Metaverse)。現在これほど注目を集めているのは、自由に移動できるVR空間という価値だけにとどまらず、Web3.0やブロックチェーンなどの技術を組み合わせることで、人々に「デジタル生活圏」という新しい世界を提供できる可能性が生まれてきたからだ。
現在、アメリカを中心に大手テック企業が次々とメタバースへの投資を始めている。
Meta(旧Facebook)代表のマーク・ザッカーバーグは、メタバースがモバイルインターネットの後継になると予測し、メタバース事業に1兆円の投資を行うと発表、ヨーロッパでメタバース開発のための人材を1万人雇用する計画を持つ。
ゲーム大手のEpic Gamesもメタバース構築を進めており、ソニーは同社のメタバース事業に過去2年で40億ドル以上を投資。この4月にはブロック玩具大手のLEGOとEpicがメタバース構築で提携を発表した。
イーサリアム・ブロックチェーン上のメタバース「Decentraland」では、JPモルガン・チェースが2月にラウンジを開設、暗号資産や仮想通貨に関する情報を提供する。銀行の同メタバース進出は世界初という。このほか、ファッションや消費財メーカーが、メタバースに相次いで参入している。
日本の大手企業もメタバースに接近している。ソニーのほか、パナソニック、KDDI、NTTドコモ、キャノン、ソフトバンクなどがデバイスやサービスの開発を進めている。
3月には一般社団法人Metaverse Japanが設立された。産学官組織としてAR、VR、NFT、Web3、DAOなど複数のワーキンググループを立ち上げ、「業界や企業の垣根を越えて最先端の情報や世界観を広く共有するハブとなることで、メタバースという新しい概念を議論していく」という。
Metaverse Japanがまとめたメタバース領域の想定ロードマップ
調査会社のEmergen Researchは、メタバースの世界市場規模は2028年に8280億ドル(106兆円)に達すると予測している。昨年にはDecent raland内の土地が4億円で取引されるなど、メタバースを巡っては投機的な動きも見られる。
メタバースは現在、買い物やゲーム、コミュニティ形成などの手段に使われているが、メディア、カンファレンス、教育、レジャーなど幅広い用途も見込まれる。今後はNFTや3Dアバター、没入型ゲームどの開発が今後さらに進むと考えられる。Metaverse Japanは産業用マルチバースやオフィス・公共コミュニケーションバースが普及した後に、デジタル生活圏としてメタバースが市民に定着すると予想している。
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