アライアンス戦略で、地銀のビジネスモデルの転換に挑む

福岡県久留米市に本店を置き、県南部の筑後地方を主なフィールドとしている筑邦銀行。設立70周年を2022年に控え、今年4月から3カ年の中期経営計画をスタートさせた。近年は新たなビジネスも次々と展開している佐藤頭取に、その狙いや展望を聞いた。

佐藤 清一郎(株式会社筑邦銀行 代表取締役頭取)

地域の企業に寄り添う地銀
新たな価値の創造を目指す

筑後川や有明海、耳納連山などの豊かな自然が広がる、福岡県南部の筑後地方。古くから農業や商業が盛んで、今では伝統工芸から医療・バイオテクノロジーまで多様な産業が花開いている。

そんな筑後地方で、戦後の復興期、資金繰りに悩んだ地元企業や商店主を中心に銀行設立の機運が高まり、1952年に設立されたのが筑邦銀行だ。地域に密着した地銀として、主に地域の中小企業に寄り添う姿勢を貫き、来年で設立70周年を迎える。

「全国を見渡すと地方都市は疲弊していますが、福岡は元気があり恵まれています。創業期から代々お付き合いいただいているお客様もいて、大変ありがたいです」と語るのは、祖父と父が筑邦銀行の創業メンバーで、現在同行の頭取を務める佐藤清一郎氏だ。

「ただし、地銀を取り巻く経営環境は年々厳しくなっており、ビジネスモデルの転換が求められています。今年4月にスタートした3カ年の中期経営計画では、お客様支援ビジネスの多様化を基本方針とし、お客様や地域と共に新たな価値の創造に取り組んでいます」

中期経営計画では「人、まち、地域を『動かす人』がいる銀行へ」をスローガンとして、具体的には3つの重点取組項目を定めた。1つ目は、「既存ビジネスの深化」だ。

「従来の預貸金ビジネスは、人口減少や超低金利などにより利益が上がりにくくなっています。しかし、預貸金業務は銀行の本分であり、地域で必要とされるビジネスです。コロナ禍において、我々は4500件以上のコロナ関連融資を出してきました。これからは資金繰りの支援だけでなく、経営課題の解決につながる提案力を高めたり、創業サポートなどの面をさらに深めていきたいと考えています」

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