BSテレ東「羽田土曜会」に修了生が出演 復興・災害対策に挑む
地域活性をテーマに土曜の朝を彩るテレビ番組『羽田土曜会』(BSテレビ東京)。2月6日の放送では、2011年の東日本大震災をきっかけに、復興や災害対策など、社会課題解決を目指す新事業に挑む小野寺孝晃氏と黒田千佳氏の2人が出演する。
毎週土曜日の朝7時30分から全国放送される『羽田土曜会~ニッポンを元気にする地域の星~』は、日本全国の市町村の中から地域の活性化に奮闘する人々の活躍を紹介し、地域創生に繋げる番組だ。毎週、羽田空港内の番組スタジオに、街のキーマンや自治体の首長を招き、地域での取り組みや成功の裏にある苦労のエピソード、活動への想いなどに迫る。
番組には羽田未来総合研究所がパートナーとして参画する。番組MCを務めるキャスターの伊藤聡子氏と共に、羽田土曜会・座長として、羽田未来総合研究所長の大西洋氏が出演。地域創生のポイントを未来総研流の切り口で分析・コメントする。
東日本大震災がきっかけ
2人の挑戦者
2011年3月11日の東日本大震災から10年。被災地は平穏を取り戻しつつあるように見えるが、人口流出や過疎化など、新たな問題は山積みで、未曾有の被害をもたらした大震災からの復興は未だ道半ばと言える。そのような状況下で、東日本大震災をきっかけに、地域復興や災害への備えなど、社会問題に独自の目線で取り組む人物がいる。
福島県いわき市で地域内外の方々を繋ぎ活性化に取り組む小野寺孝晃氏と、安心・安全を前提に生活者の目線から災害に立ち向かう黒田千佳氏。東日本大震災に端を発した社会問題に挑む、2人の挑戦が同番組で取り上げられることになった。
地元いわき市で新事業
官民を繋ぎ地域で活動
福島県いわき市で、NPO法人/一般社団法人『TATAKIAGE Japan』の両代表として活躍する小野寺氏。
大学を卒業後、東京都内のIT企業に就職した小野寺氏が、地元のいわき市へUターンしたのは、2013年に事業構想大学院大学に入学したことがきっかけだった。新たなキャリアを模索する中、東日本大震災で津波と大きな揺れに襲われ、地元のいわき市も福島第一原発事故の風評被害に悩まされていた。
大学院で事業を考える中、教員や同僚から「いわき市出身者が、なぜ東京の事業のことを考えているのか」という指摘で決心がつき、『福島県浜通り地区の地域経済活性化』をテーマに事業構想計画書(修士論文)を書き上げ、事業構想修士(MPD)を取得。その実践のため、2015年にUターンし、NPO法人『TATAKIAGE Japan』に参画した。
2013年設立のNPO法人『TATAKIAGE Japan』は、"地域にグッドインパクトを与えるプレイヤーと共にまちを育て、福島県浜通りから日本を変えていく"をミッションに、地域の起業家へのコーディネートや場づくり、人材育成などを行なってきた。小野寺氏は、2016年に同法人の理事、2018年には理事長に就任し、コワーキングスペース『タタキアゲベース』の利活用や、『いわき若者会議』の開催、『エリアリノベーション』など、様々な取り組みを行なってきた。そして、2019年に一般社団法人『TATAKIAGE Japan』を創設し、現在は同法人の代表理事としても活動を続ける。
小野寺氏は、2015年に『TATAKIAGE Japan』に参画し、新規事業として『浜魂(はまこん)』というイベントを立ち上げた。『浜魂』では、浜通り地域の活性化に向け、そこに住む人々が目標やアイデアをプレゼンし、参加者が具体的な実現方法をアドバイスする。2019年4月までに25回開催し100人以上の市民が登壇。いわき市の地域活性化の大きな柱に成長している。
「地域活性にゴールはありません。常にパスを回し続けることが必要です。『浜魂』だけでなく個々のコンサルや企業間交流のマッチングなども大切な事業として取り組んでいます」。
小野寺氏は、これらのプロジェクトを通し、地方新聞社47社と共同通信が行なう『地域再生大賞』の第9回優秀賞を受賞。現在は若者の育成にも取り組んでおり、「いわきと浜通りのバージョンアップを進めていきたい」と地域の将来を見据える。
安心・安全を前提に
生活者の目線で社会課題の解決を
社会課題の解決と新たな社会的・経済的価値の創出を目指し、2014年に『株式会社137』を創業した黒田千佳氏。東日本大震災をきっかけに、「経済最優先ではなく、幸せになるための価値の提供を考えたい。誰一人取り残さない、社会課題の解決に繋がる事業を生活者の目線で生み出したい」と、開学間もない事業構想大学院大学の1期生として入学。修士課程修了の年に起業。その後、開発した教育機関向けITソリューション&プラットフォーム『COCOO(コクー)』が、日本政策投資銀行(DBJ)が毎年発表する『DBJ女性新ビジネスプランコンペティション』で最高賞の『DBJ女性起業大賞』を受賞した。
社会課題や災害にITで挑んできた黒田氏。サービスリリースから6年目となる緊急時情報伝達システム『5co Voice(ゴコボイス)』は、横浜市内10区や東京都足立区で導入され、埼玉県や群馬県、栃木県など関東地域他県へも拡がりを見せている。
「情報格差を減らし、誰1人取り残さない安全・安心対策が最優先」と話す黒田氏。2018年7月の西日本豪雨発災5日目には、岡山県倉敷市に『5co Voice』を活用、音声情報支援をボランティアで行なうことを決めた。
『5co Voice』では、誰もが簡単に使える電話に着目。テキストを音声情報に自動変換し、一斉送信可能な機能をクラウド電話として実装した。通常の電話回線と異なり一斉発着信を受けても庁舎の電話はパンクしないWEBシステムを構築。これまで、緊急時のメールや防災無線の情報発信では出来なかった「受信者の状況確認」がリアルタイムに把握出来るようになった。高齢者にとっては、普段使い慣れた電話が鳴ることで、迅速な情報伝達が可能になり、受信自体が安否確認に繋がる。プッシュ操作による回答状況は自動集約され、自治体職員の状況集約作業は格段に早く、楽になったという。
「東日本大震災では、防災無線のマイクで最後まで避難の呼びかけをしていた女性職員が津波で命を落としました。『5co Voice』のサービス・デザインは、災害弱者である高齢者やインターネットへのアクセスに困難を抱える方々だけでなく、自治体職員の方が安全な場所に移動しても、情報伝達と集約ができるデザインになっています」。
緊急時の危機管理として複数の情報アクセスルートを持つことは不可欠だ。大規模な設備投資をせず、日常使い慣れた道具を活用する。黒田氏は今後も、生活者の視点で様々な社会課題の解決や災害対策に挑んでいく。
『羽田土曜会』では今後も、様々な視点で地域活性化や社会課題の解決に挑む、地域の挑戦者たちを追い、その姿を『羽田空港』から全国へ発信し続けていく。
放送内容
羽田土曜会 ニッポンを元気にする地域の星
BSテレビ東京
放送日:2021年2月6日(土)午前7時30分
放送終了後、オンラインでも配信されます。