アルプスの名水が育んだ、地域と世界を幸せにする和菓子

金精軒製菓は、信玄餅をはじめとする和菓子の製造販売で、118年の歴史を刻んできた。近年は「賞味期限30分」が話題となった「水信玄餅」を目当てに、長蛇の行列ができている。「慈愛」をキーワードにした同社の和菓子づくりについて、小野光一社長に話を聞いた。

小野 光一(金精軒製菓株式会社 代表取締役)

SNSで人気に火が着いた
賞味期限30分の「水信玄餅」

国産ミネラルウォーター「南アルプスの天然水」の採水地として知られる山梨県北杜市。この地で和菓子舗の台ケ原金精軒が産声を上げたのは、明治35年(1902年)のこと。1950年に法人化を果たしている。創業者の孫に当たる小野光一氏は、二代目(伯父)と三代目(父)がともに若くして逝去したため、1983年に経営を引き継いだ。

日本の道百選の一つである甲州街道、台ヶ原宿にある本店。明治35年から同地で営業してきた

「生菓子を扱う私たちに追い風が吹いたのは、高度成長期より少し後になってからです。昭和50年代に高速道路が開通したことをきっかけに、サービスエリアの土産売り場などへ商品を卸すようになり、少しずつ事業を拡大することができました」と小野氏は語る。

同社の近年の大ヒット商品と言えば、SNSで話題になった「水信玄餅」だ。「かねてより交流のあった伊那食品(長野県)から持ち込まれた寒天の試作品を使って、原料の限界を試すために水が固化する最小限の配合を試す中、非常に透明感が高いゲルを作ることができました。液体になる寸前のようなフルフルと揺れる固さで、口に入れた途端に幻のように溶けて消えていく滑らかさでした。成型するのがやっとで、指が触れただけで潰れてしまうし、器から出してしばらくすると水が染み出てきて独特の食感を失ってしまいます」

毎年6月~9月末まで限定販売される「水信玄餅」

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