安川電機 無限に広がる高性能ロボットの可能性

社会情勢や技術の変化の中、ものづくりはどのように変わっていくのか。工場の自動化をベースに、無理・無駄をなくし、生産性の向上、環境配慮への取り組みを進める安川電機・津田純嗣会長と、事業構想大学院大学・永野芳宣特命教授の2人が語る。

津田 純嗣(安川電機 代表取締役会長)、永野 芳宣(事業構想大学院大学 特命教授)

「3Kを無くす」を突き詰めて
世界的ロボット企業に

永野 安川電機さんは、ACサーボ・インバータなどの「モーションコントロール」、鉄鋼プラント用システムなどの「システムエンジニアリング」、そして「ロボット」という3つを事業の柱として世界の先端を走っておられます。今日は、こうした事業の、これからの時代における意義についておうかがいしたいと思います。

永野 芳宣(事業構想大学院大学 特命教授)

まず、貴社は2015年に2025年に向けた10年の長期経営計画を策定されていますが、変化が激しい時代の流れの中で計画をどのように進めていらっしゃいますか。

津田 当社の事業のベースは「工場の自動化」です。今から50年も前のことです。社内の組立工程の自動化に取り組みながら、ふと周囲を見ると、まさにこれから家電や自動車産業が大きく発展するぞという流れが見てとれました。そうした中で、当社に何ができるのかを考え、絵を描いた。それが組立産業の自動化を実現する「メカトロニクス」です。その発想のもとで開発したのが、先程おっしゃっていただいた、サーボ、インバータ、ロボットでした。

津田 純嗣(安川電機 代表取締役会長)

事業のベースが「工場の自動化」であることは、昔も今も変わりません。ただ、社会の環境は大きく変わりました。アナログからデジタルの時代へ、デジタルから情報化社会へと世の中がめまぐるしく変化する中で、物の作り方も変わりそうだ。自分たちはいったいどう進んでいけばよいのか。その考え方をまとめたのが、2015年に策定した「2025年ビジョン」です。

そもそも自動化への取組は、当社の工場から「3K」を無くしたいと考えたからです。「3K」とは、工場にはつきものの、「きつい(Kitsui)・汚い(Kitanai)・危険(Kiken)」です。これを無くすことは、無理・無駄を無くすことにつながります。そういう職場をつくろうとしたことが「メカトロニクス」の始まりです。

「2025年ビジョン」も、「メカトロニクス」をコアにした考え方はほとんど変わりありません。社会情勢や技術の変化の中で、前に進む方法や方向性をミニマム修正しながら取り組んでいます。

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