2020年1月号
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地方創生の実践へ 議会質問のヒント

住民投票の結果に議会は従う必要なし? 住民投票条例の意義と限界

牧瀬 稔(関東学院大学 法学部地域創生学科 准教授、社会情報大学院大学 特任教授)

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住民投票条例には様々な議論がある。住民投票とは直接民主制であり、間接民主制を担う議会がそれを肯定することは、自らの存在意義を否定することにもつながると考えられる。今回は、住民投票と議会制度について考察する。

地方創生の時代は、自治体には「地方(地域)自決権」が保障されるべきである。地方自決権とは、「地方(地域)のことは地方(地域)が決める」という原則である。すなわち団体自治をより意識しなくてはいけない。そして団体自治の前提として住民自治が存在している。地方自決権を担保する一手段が「住民投票条例(制度)」である。

最近、筆者のところに住民投票条例に関する問い合わせが増えつつある。そこで今回は住民投票条例を紹介する。なお、住民投票条例とは「住民投票」制度を「条例」という法的手段により規定したものになる。

住民投票(条例)の動向

過去の連載を踏襲すると、ここの見出しは「議会質問等における住民投票(条例)の動向」となるべきであった。しかし、筆者が調べた範囲であると、議会においては住民投票(条例)に関する前向きな質疑は少ない。その理由は明快であり、議会が住民投票(条例)を肯定することは、議会の存在意義を否定することになるからと考えられる。

住民投票により行政の方向性が決まってしまうと、議会のプレゼンスが低下してしまう。誤解を覚悟で言及すると、住民投票とは直接民主制である。一方で議会は間接民主制になる。住民投票が主流になると、間接民主制である議会は太刀打ちできない。そこで議会における住民投票(条例)の質疑は少ないと推察される。

そこで参考として、いくつか図表を記しておく。図表1は全国47都道府県議会議事録横断検索を活用した各都道府県議会における「住民投票」の質問等の回数である。ほとんどの議会で質問が見られない。また見られたとしても「住民投票」ではなく、「『住民』の『投票』率の向上」という質疑等が含まれている。

図表1 都道府県議会における「住民投票」の質問等回数

出典:全国47都道府県議会議事録横断検索

 

図表2は全国紙(朝日、産経、毎日、読売の各紙)における1年間の住民投票に関する記事の推移である。2000年代半ばにピークを迎えている。これは市町村合併に伴う住民投票の記事になる。2015年は前後と比較して、住民投票の記事が多くなっている。その内容は、大阪市を廃止して5つの特別区に分割する「大阪都構想」の是非を問う住民投票である。

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