新産業創出の条件とは? 最低賃金の上昇と高度教育人材から考える
新産業の創出において、「最低賃金の上昇」はどのような意味を持つのか。産業構造の転換には、十分な数の高度教育人材が存在することが必要であり、賃金水準は、その国・地域に人材が集積するうえで大きな影響を及ぼす。
新産業創出の条件とは?
イノベーションは特定の地域にしか起きていません。イノベーションには地域偏在性があります。言い方を変えれば、極めて地理学的な現象です。なぜ、そのような現象が起きるのでしょうか。
同じことは、新産業創出に関しても指摘できます。欧米や日本の一部の地域で新産業が創出されつつあります。しかし、新産業創出が簡単にどこでもできれば、その企業や地域の競争力は無くなってしまいます。
最初に、新産業創出がなぜ必要か、簡単に産業の時代変遷とその特徴を見てみます。新産業創出について、シリコンバレーや日本の燕三条を分析すると、一般的には、連続的なイノベーションが起こった結果として、新産業が創出されています。
ある特定の産業でイノベーションが起こり、その結果として新しい芽が出てきます。「連続的にイノベーションが起きている」という条件が極めて重要です。
ただし、それだけでは十分ではありません。それ以外に、どのような付加的な条件が必要かを分析します。
新産業から斜陽産業へ、
産業にはライフサイクルが存在
新しい産業は、新しい技術に基づきスタートします。したがって、その時代の先進国からスタートします(表1参照)。
表1 産業のライフサイクルと国、技術、競争、人材に関する特徴
新しい産業では新規参入は少ないので、独占的な利益を得ることが可能です。製品自体を同業他者と比較して「差別化」している必要があるので、開発費用がかさみます。
次の段階で成熟産業になると、参入企業が多くなり、自社製品の差別化が十分に行われなくなり、「価格競争」が激しくなります。したがって、人件費が低い中進国や開発途上国に工場が移転します。最後の段階では、競争は価格競争が主になり、人件費のより安い地域、開発途上国の工場に移転します。さらに開発途上国の企業が参入します。
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