社会起業家のプラットフォーム SDGsを達成する事業の創出法

「誰一人取り残さない」という理念に基づく「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けては、ソーシャル・コンセプトに基づくビジネスが求められる。ボーダレス・ジャパンは、その実現を目指す社会起業家たちのプラットフォームだ。

鈴木 雅剛(すずき・まさよし)ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長

既存の経済、社会のルールでは
解決できない社会課題

株式会社ボーダレス・ジャパンでは、SDGsにも掲げられた貧困をはじめとする世界の様々な問題を、ソーシャルビジネスを通じて解決することを目指している。

「産業革命以降、経済発展が繰り広げられる中、経済や社会のルールは効率化や大規模化を志向してきました。その結果、『非効率』なものは、すべてにおいて取り残されることになったのです」

ボーダレス・ジャパン副代表の鈴木雅剛氏は、こう指摘する。例えば、僻地には「市場がない」という理由で店舗は進出しない。また、障碍のある人は、いわゆる「普通の人」と同様に仕事ができないという理由で取り残されてしまう。効率性が追求された結果、それに乗り切れない人々が取り残され、社会課題として露見している。

「このような社会課題の解決は、既存の経済や社会のルールではできないことを認識する必要があります。ですから、社会の再構築から考え、その上で皆が幸せになれるビジネスを追求、実践していくのが、ソーシャルビジネスのあり方だと思います」

一方、大規模化の志向では、個々の事業が大規模化しただけでなく、バリューチェーンも拡大した。これによって、人々の顔の見える関係が失われていった。

「人は本来、自分が認識する世界の中で互いに助け合い、幸せになる素養を持っているはずですが、顔が見えなくなったことで数字が大切になりました。そして数字を追いかけ、利益や売上を増やすことが目的となった結果、何のために働き、頑張っているのかが見えなくなっています」

また、機能分化が進み、自分が1つの取り組みのごく一部だけを担っていると、顧客の顔が見えても、自分の役割が顧客に喜んでもらえているのか、関係者にどれだけ影響が及んでいるかといった点が見えにくい。

このような状況とは対照的に、社会課題を解決するためのソーシャルビジネスでは、作り手と買い手、生産者と消費者が顔の見える関係でしっかり結びつくことが重要になる。

まずはソーシャル・コンセプトを
生み出し、事業を創出

2007年に設立されたボーダレス・ジャパンは、ビジネスを通じて社会課題の解決を目指す社会起業家のプラットフォームだ。ボーダレス・ジャパンは、各事業を分社独立させ今では、8カ国24社で構成するボーダレス・グループとなっている。

社名にボーダレスという言葉を用いたのは、既存の先入観や概念に縛られない、新しい社会の在り方を提示したいという想いからだという。

「社会課題を何とか解決したいと考える人がベンチャーでチャレンジしても、結局うまくいかないのは社会の損失です。そのような想いを持つ人たちがチャレンジし、社会にインパクトを残せるような世の中をどうすれば作れるかと考え、ボーダレス・ジャパンを経営してきました」

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