新しいホテルを地域のために ウエディング会社の新プロジェクト

存続の危機から再生、ウエディング事業で成長を遂げた「マツノイパレス/ザ・チェルシー」が、2019年夏、高松市に新しいホテルをオープン。開業に導くのが5代目社長・住田浩氏だ。「自由で楽しいウエディング」を実現させたその実力が、次はホテルに注がれる。

4つの挙式場&8つのパーティホールを持つ「マツノイパレス/ザ・チェルシー」。中四国でもトップクラスのウエディングプロデュース実績を持ち、ウエディングのプロフェッショナルたちも視察&ヒアリングに訪れるという

住田 浩(高松パレス 代表取締役社長)

異業種からウエディングに参入

高松空港からクルマで10分、JR高松駅からクルマで30分。高松パレスが運営する結婚式場「マツノイパレス/ザ・チェルシー」は、高松市郊外の丘の上に位置する。1967年に植物園として創業以来、ウエディング・宴会・宿泊の3本柱を打ち立て、急成長を遂げたものの、1999年には業績が悪化、存続さえも危ぶまれた。

翌2000年、ウエディングに特化した再生計画により、徐々に息を吹き返し、今や4つの挙式場と8つのパーティホールを持つ、中四国エリアにおいてトップクラスのウエディング施設へと甦った。

この再生計画の旗を振った同社の住田浩社長は次のように分析する。

「私自身、建築からウエディング業界に入った人間ですから、最初は業界の慣習に『なぜ?』と思うことが多々ありました」

既成概念を疑い、枠には捕らわれなかった同社のスタイルは多くのカップルから支持を得た。「業界の知識がなかっただけに、新たに獲得した知識を知恵で加工していった」と振り返る。異業種からの参入は、視点のコントロールも容易にした。

「当時、ホテル・レストラン用の家具カタログでゲストチェアを見ていると、『超軽量』とか『10脚スタッキングできます(フロア係の労力削減につながる)』というコピーを多く目にしましたが、本当にお客様にとって大切なのは、座り心地やデザインではないのか。要は、個性派ウエディングと謳いながらも式場のやりやすいフレームにねじ込んだ画一的なウエディングが多かったように思いました」

住田社長は「ニューヨークスタイル」をベンチマークに、「自由で楽しいウエディング」を考案。また、建築業界での経験がウエディング事業の確立に生きたと言う。

「建築現場においては、協力会社さんの力量とその関係性が、品質やコストなどに大きく影響を与えます。一番大切なことは、互いに尊重しあうということだと思います」

ウエディングの現場も多くのパートナー企業の協力があってこそ成り立つ。建築で得たこの求心力は多くの協力会社を引きつけ、事業は軌道に乗った。

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