2019年3月号
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SDGs×イノベーション

発酵技術で飢餓をゼロに 低コストの食品リサイクルで風穴を開ける

髙橋 巧一(日本フードエコロジーセンター 代表取締役)

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世界で70億人超の総人口のうち、約9億人が飢餓に苦しみ、年間20億トンの食品が廃棄されている。食品資源循環のロスを減らすイノベーションで、低コストで飼料とエネルギーを供給するビジネスを実現。生産と消費を完結する「サステナブルファーム」の実現を2年後に見据え、どう戦略を進めているのか。

髙橋 巧一(日本フードエコロジーセンター 代表取締役)

日本フードエコロジーセンター(J.FEC)とは食品循環資源のリキッド発酵飼料化を事業とする株式会社。小田急フードエコロジーセンターを経て現在の形になった。

「進学した大学の獣医学科では自然保護活動のための組織『フィールド・アシスタント・ネットワーク』を立ち上げてボランティア活動に没頭し、自然環境との共生を願っていました。今や、BRICSが熱帯林を破壊して牧場を建設し、先進国がそこで育てられた家畜を買って食品化し、大量廃棄するなどの問題が生じています。フードロスは移民難民問題の遠因とも言えます。飢餓を生む負のスパイラルに対し、日本がモデルを示していくことが必要ではないかと考えました」と代表取締役を務める髙橋氏は語る。

事業化に際し、商材である飼料は徹底的に研究を重ねた。「アメリカ合衆国(米国)発のペレット(乾燥飼料)が市場シェアを増しつつありますが、本来、半液状のまま物を食するのは豚の習性です。実際、ヨーロッパではリキッド飼料を豚に与える慣習が、また日本でも、40~50年前まで余った食品をドラム缶でドロドロに煮込んで豚に与えることはごく普通に行われていました。そこで農林水産省から補助金を得て、リキッド状の発酵飼料の研究を始め、産学官連携で農林水産大臣賞を授賞しました」。飼料の乾燥化は栄養価を損ないコスト高であるため、多様な食品の廃棄物を安全性や品質を確保したうえで飼料化していく技術の普及スキームを構築した。

食品リサイクル業界を刷新
イノベーションで低コスト化実現

「多くのリサイクル業がしっかり軌道に乗らない原因は、機械設備に投資しすぎるためです。大手財閥系の企業が運営するプラントに比べ、当社は10分の1ほどの設備費用で、自分たちで設計し地元の業者などから資材を集め知恵を出して作っています。複雑なコンピュータ制御を伴わない仕組みにしているため、1日も止まらず稼働できます。また飼料に向かない食材はバイオマス化の施設を併せて作り、エネルギー化して多角的に相乗効果を高める取り組みを準備しています」

階上から俯瞰したリキッド飼料の生産ライン

こうして生産されるリキッド飼料は高い価格競争力を有する。「ほとんどの食品は焼却炉で燃やされ、その費用は1トン当たり平均4~5万円ですが、当社は2~2.5万円で実現しています。また、飼料代は通常乾物換算キロ当たり35円~55円ですが、リキッド発酵飼料はキロ当たり20~25円で、低コストでリサイクルできる仕組みを整えています。飼料を乾燥化せず膨大なエネルギーコストが節約でき、外国から空輸する燃料コストも掛からないため、業界平均に比べ極めて廉価で農家に販売できます。かつ、創業以来一貫して黒字継続しています」

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