情報システムは経営の根幹 ホームセンターのIT活用術

北部九州・山口を中心にホームセンター、電気工作キット、データ活用サービスを展開。時代に合わせ事業を多角化してきた嘉穂無線ホールディングスでは今、データ活用指南事業に力を入れる。柳瀬隆志社長が語る、ホームセンターのIT活用術とは...。

柳瀬 隆志(嘉穂無線ホールディングス 代表取締役社長)

体験型の店づくり

ラジオ・アマチュア無線パーツの小売事業が祖業の嘉穂無線ホールディングス、北九州を中心にホームセンター66店舗を運営する『グッデイ』、電気工作キットの『イーケイジャパン』、データ活用サービス『カホエンタープライズ』を傘下に置き、2019年で創業70周年を迎える。

柳瀬隆志社長は「振り返ってみれば、嘉穂無線という会社は、常に時代の流れに合った新規事業をやってきました。私の仕事の1つは、さらに新しい道を立ち上げることかなと思っています」と話す。

事業多角化の中で1990年代に伸びたのがホームセンター事業。1978年に『グッデイ』1号店を福岡県大野城市に出店して以来、現在65店舗にまで拡大している。

人口減少が進む中、ホームセンターの事業環境は年々厳しくなっているのが現状だ。単にモノを安く売るというだけでは、関東の大手や全国規模の大手に太刀打ちできない。「少子高齢化、過疎化、という状況下でホームセンターがどうあるべきかを考えて、戦略を打っています」(柳瀬氏)。

2018年4月にオープンした、65店舗目となる『グッデイ久留米野中店』(福岡県久留米市)は、園芸・DIY(趣味の手作り作業)・FAB(モノづくり)をメインにした新形態のホームセンターとして誕生した。

グッデイが運営するDIY工房・スタジオ「Gooday Fab」

店内ではDIYに必要な要素を学べる教室を開催。デジタル工作機のレーザーカッター・カッティングマシーンを常設したファブスペースや、工具貸出コーナー、木工や園芸のワークショップが開催できるスペースも併設。約10種類のペットフードが試食できる『ペットバー』などもあり、幅広い年代が、"いつも・何か・学べる・体験できる"スペースとなっている。

「現在は体験型の店づくりにこだわっています。何か買って帰るだけでなく、ある程度の時間お店に滞在できる。"週末になったら『グッデイ』に行く"というような習慣を作り上げていきたい...」(柳瀬氏)。

経済が右肩上がりの成長をしている時には、既存の商品やサービスをブラッシュアップして最適化することが一番の戦略だ。しかし、経済が停滞し下降することが予想される時代には、今までやってきたことを継続していくだけでは厳しい。

「これまで乗ってきた波が崩れかけている中で、次に大きくなる波の可能性を見つけ、一番伸びそうな波に乗り移ることも考えなくてはなりません。新しいチャレンジが必要です」(柳瀬氏)。

システムづくりは経営課題

ホームセンターの運営において、6万~7万あるアイテムをどう管理し、商品の流れをどう見ていくかは、常に悩ましい問題だ。

『グッデイ』では1990年代に商品管理システムを構築し、毎日の単品、店別の売上データをシステムの中で集計してきた。「システムの導入は、ホームセンターとしては早い方でした。しかし、大量に集まったデータを肝心の分析にうまく使えていませんでした」(柳瀬氏)。

『グッデイ』では1990年代に作ったシステムで集めた大量のデータを分析して活用するため、2015年から米国・Tableau Softwareの販売するBIツール(ビジネスインテリジェンスツール)『Tableau』を使い始めた。

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