2018年11月号
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SDGsは新規事業のチャンス

人口2000人のまちが挑戦 「農業×福祉」で稼ぐ地域をつくる

竹内 誠一(CLAPS creative Co-Founder/Producer)、榎本 淳子(同Co-Founder/Facilitator)

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北海道の道東に位置する音別町は、2005年に釧路市と飛び地合併した。1950年代には人口1万人以上を誇った音別町だが、炭坑の閉山などを理由に現在は人口2000人以下まで激減。若者の担い手が少ないなか、農業と福祉を掛け合わせ、新ブランドをつくり、雇用を生む新しい挑戦が進んでいる。

2018年6月に開催された「北のビーナス蕗まつり」の様子

複数の課題を同時に解決

春の河口は降海するアメマスが群がり、夏の海岸はブルーバックのアメマスやサクラマスが回遊する。秋にはサケや遡上する砲弾型のアメマスが見られ、釣り人の聖地のひとつとなっている音別町。釣り好きが全国から集まり、風光明媚な景観も楽しめる地域であるが、高速道路のインターチェンジや宿泊施設が少なく、観光だけで地域経済を成り立たせることは困難だ。

そうした中、かつては広大な土地に自生していたものの、水害や乱獲等によって収穫量が減った地域資源である蕗(ふき)をつくり、地域に正の循環を生み出そうという機運が高まっている。その中心にいるのが、2017年5月に設立された一般社団法人音別ふき蕗団だ。ビジョンとして、「ふきで音別町が有名になり、若い人から年配の方まで、どんな人も自信を持って、イキイキと暮らせる」を掲げ、蕗を生産、ブランド化することを通じて、まちが有名になり、誰もが自信を持って暮らせるまちを目指している。

このビジョンには、行政や地元の信用金庫、社団法人、障がい者・若者支援団体、地元企業、東京のクリエイター、アーティストなどが賛同。連携しながら、①稼ぐ仕組みの構築、②コミュニティの形成、③生活保護や福祉の給付やサービスに依存しない持続可能な地域モデルづくりを実施。行政が税金を投じて対処することの多い、「地域の担い手不足」や「生活困窮者・障がい者の自立支援」などの複数の地域課題を同時に解決し、地域を活性化している事例として注目を集めている。

地域が一体となって蕗を生産。販路を広げるための新しい商品の開発も検討されている

地域がまとまるには
ファシリテーターが必要

音別ふき蕗団の活動には、クリエイティビティを生かした社会実験に取り組むCLAPS creativeの竹内誠一氏と榎本淳子氏も参画している。両氏は、マーケティングや広告制作業を本職とするパラレルワーカーであり、プロデューサー・ファシリテーターだ。

両氏が音別町の取り組みに関わる契機となったのは、元釧路市職員で、一般社団法人釧路社会的企業創造協議会の副代表として、生活保護者の困窮者の就労支援を行う櫛部武俊氏との出会いだ。櫛部氏は、音別ふき蕗団においても、「中間的就労自立の場」の創出に貢献している。

櫛部氏と出会い、音別町について知る中で、人口2000人以下の音別町においても、農家は個人事業主であるため、人と人のつながりよりも、個で解決することが多いことに気が付く。竹内氏は「高齢化で人口が減っているのは状況であって、活力がわかないことが問題。その要因のひとつが人のつながりが薄いこと」と説明。よそ者として、ファシリテーター役を買って出ることになった。

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