JAL社長が語る 破綻からの復活、成長領域は「航空」以外にも

2010年の経営破綻を経て、成長を遂げているJAL。2018年2月に発表した中期経営計画では、人財とテクノロジーを融合させる取り組みにより、イノベーションを生み出すことを目指している。JALの現状と課題、これからの成長戦略について、赤坂祐二社長に話を聞いた。

聞き手・ 田中里沙 事業構想大学院大学 学長 / 宣伝会議 取締役

 

赤坂 祐二(日本航空 代表取締役社長)

――この4月に社長に就任されました。就任の前後で、赤坂社長の目に映る日本航空(JAL)の姿は変わりましたか。

赤坂 とても大きく変わりました。私は長く整備畑を歩んできましたが、今まで経験していなかったこともたくさんあり、特にJALグループの大きさのようなものを改めて感じています。

整備の世界は、一般に考えられているよりも広くて深く、たくさんのステークホルダーがいるのですが、JALグループ全体となると、その何倍も大きい。本当にいろんな人に支えられて事業をしていると肌身で感じています。

社会への貢献が士気を高める

――JALは、日本各地の魅力を国内外に紹介する「新・JAPAN PROJECT」も展開されています。地域と接点を持つ中で、感じられることはありますか。

赤坂 地域の皆さんからの期待も強く感じます。一方で地域ごとに期待される内容は変わり、各地域の課題も異なりますので、一律の対応ではうまくいきません。

その地域に合ったものを提供していかないと、期待には応えられません。非常に時間や手間はかかりますが、きめ細かな取り組みが重要になります。

――地域活性をはじめ、社会的な活動にも力を入れ、社員の士気も高まっているように感じます。

赤坂 社員の士気は明らかに変わってきています。JALは2010年に経営破綻し、長く苦しい時期が続きました。社内は自信を失い、ある意味、プロとしての責任感だけで頑張ってきました。その努力の積み重ねがあって、今があります。

でも、ここにきて徐々に気持ちも明るくなり、少しずつですが社会に貢献できているという手応えを社員が感じ始めてきており、それが士気を高める源泉になっているのだと思います。

以前はとにかく、自分たちのことで精一杯でした。ある程度気持ちに余裕が出てくると、外部からの期待や感謝にも耳を傾けられるようになり、それが社員を大きく勇気づけています。

社外への貢献は、社内にとっても非常に重要だと強く感じます。広い視野で企業活動を考え、航空機にお乗りのお客さまだけでなく、広く社会に恩返しをしていく、社会から感謝される会社にならないと、企業の継続的な成長は難しいと考えています。

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