海洋深層水で新ビジネス 湧き上がる「海の恵み」を地域の力に

高知県において、海洋深層水の活用が広がりを見せている。産官学を巻き込み、多くの実証実験や事業化への挑戦が続いているのだ。立場を異にする人たちが協力する背景には、橋渡し役を担ってきた人の存在がある。

竹中 利文(土佐力舎 代表取締役社長)

水深200mより深いところにある海水「海洋深層水」。現在全国に15の取水施設があるが、その活用は模索が続いている。そうした中で、高知県では海洋深層水の事業化への挑戦が続き、それが地域活性につながっている。

室戸岬は、日本における海洋深層水の草分け。室戸沖の独特の地形が、豊かな「海の恵み」をもたらしている

室戸岬という「地形の利」

1985年に科学技術庁(当時)のアクアマリン計画でモデル海域に指定された高知県室戸市。室戸岬で知られる同市には、1989年に日本初の取水施設が設置され、日本における海洋深層水活用を先駆けてきた。そして、現在、室戸で海洋深層水ビジネスを牽引しているのが土佐力舎だ。

土佐力舎の社長・竹中利文氏は、室戸に拠点を置くタケナカグループの3代目。竹中社長は海洋深層水ビジネスについて、高知県には「地形の利がある」と語る。

「室戸は、大都市や工場地帯がないため汚染物質がほとんど流れ込まず、大きな河川もないので海の濁りもありません。また、陸地から深海まで急激に深くなる地形のため、取水設備の配管は短くて済みますし、湧昇流(1000m級の海底の水が土手にぶつかって上に上がる流れ)のためポンプアップもしなくて良い。つまり、取水にコストがかからないんです。低コストで安定した供給ができるからこそ、海洋深層水を使った事業が広がっているのだと思います」

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