2018年6月号
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インバウンド沸騰の先へ

応募は定員の7倍 「地域通訳案内士」を育てる京都市の戦略

水上 大嗣(京都市ビジターズホスト事務局長)

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2018年1月、通訳案内士法の規制緩和が実施された。外国語を使用できるガイドは、訪日客の満足度向上において重要な意味を持つ。京都市の活用事例を紹介する。

「通訳案内士」はスマートフォンアプリやガイドブックでは伝えきれない地域の魅力を、コミュニケーションを通じて訪日客に届ける能力を持つ。現在さまざまな自治体が地域通訳案内士の育成を始めている(写真はイメージ)

太田 雄也(観光庁観光地域振興部観光資源課課長補佐)

水上 大嗣(京都市観光協会国際誘客推進部担当部長、京都市ビジターズホスト事務局長)

既存制度と市場のミスマッチ

日本のインバウンド観光の課題として指摘され続けているものが「言葉の壁」だ。観光庁が2017年に実施した訪日観光客へのアンケート調査によると、「旅行中困ったこと」への回答のトップが「施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれないこと」(26.1%)、次点が「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」(21.8%)だった。

こうした状況下で、訪日客と直接コミュニケーションをして日本の魅力を発信する通訳ガイドのニーズと重要性が高まっている。

これまで日本では、報酬を得て通訳案内(外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をすること)を行う場合は、「通訳案内士」の国家資格がなければ違法であった。2018年1月、この通訳案内士法が改正され、業務独占が撤廃。誰でも外国人への有償通訳ガイドを行えるようになった。

改正の背景には、制度と市場のミスマッチがある。通訳案内士はもともと団体外国人客を想定したものだったが、FIT(個人旅行)客が増えるなかで、ガイドが足りないという課題が生まれている。通訳案内士の登録者数は2017年4月時点で2万2,754人いたが、「兼業の通訳案内士が多く、実際に仕事をしている人は登録者の4分の1程度」(観光庁観光資源課・太田雄也氏)だったという。

また、通訳案内士の75%が都市部に集中して地方の案内士が少なく、言語別では英語ガイドが7割のためアジアからの観光客増加に対応しきれていないというミスマッチもあった。

政府が2016年に策定した「明日の日本を支える観光ビジョン」では、地方部での外国人延べ宿泊者数を2020年に7000万人(2015年比約3倍)に増やすという目標を掲げている。通訳案内士法の改正は「ガイドの数を増やし、特に地方でのガイドを育成することで、訪日外国人旅行者の受入環境の整備を図る」(太田氏)という狙いがある。

訪日観光客の多くはコミュニケーションに課題を抱えている(写真はイメージ)

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