民泊新法、主戦場は「地方」へ ポイントとチャンスを解説

今年6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)は、日本の民泊市場にどのような影響を与えるのか。一般社団法人宿泊施設マネジメント機構代表理事で、事業構想研究所客員教授の鴨志田篤史氏に、民泊市場の将来について尋ねた。

鴨志田 篤史(宿泊施設マネジメント機構代表理事、全国民泊同業組合連会理事、事業構想大学院大学事業構想研究所客員教授)

大手企業の参入が民泊の転機
日本人にとっても当然のものに

住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行は画期的な出来事だ。一言で言えば、民泊が"ビジネス"として普及していくきっかけになる。

私は現在、全国で民泊を運営しながら、一般社団法人宿泊施設マネジメント機構代表理事として民泊参入コンサルティングを行っているが、過去にはレンタルビデオやインターネットカフェ、メディアリサイクルなどを手掛けてきた。これらのビジネスに共通しているのは、当初は「マーケットはあるが、法律や規制が追いついていなかった」ということ。後追いで法律が制定され、やがて市民権を得て、ロングテールビジネスとして多様な業態が普及していった。

まさに民泊も同様である。リクルートや楽天が民泊への参入を進めているが、大手企業は莫大な広告宣伝費をかけて、民泊事業をアピールするだろう。そうなると、民泊を知らなかった層にも情報が届く。これまで、日本国内でAirbnbを活用しているのは外国人観光客がほとんどだったが、大手企業の参入で認知が広がることで、日本人も当たり前のように民泊を利用するようになるはずだ。ホテルや旅館と並ぶ選択肢として、民泊は浸透するだろう。

一方、民泊の運営者の顔ぶれは大きく変化する。民泊新法で、年間の営業日数が180日に制限されるからだ。これまでAirbnbの登録の多数を占めていた、賃貸物件のまた貸しというグレーな状態で運営している個人にとって、新法は死活問題だ。

今後、ポイントになるのは「どうやって180日間で利益を出すのか」。マンスリーマンションやリゾートマンションを所有する不動産事業者が、空室を埋めるために民泊を活用するような事例が圧倒的に増えていくだろう。市場への部屋の供給量が増えて競争が激しくなるが、賃貸ではなく、物件のオーナーが民泊を手掛ける分にはまだまだチャンスがある。

民泊新法のポイント

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