アイデアとつながりで躍進、修了生の活躍から構想のヒントを

アイデアとつながりで躍進
修了生の活躍からヒントを探る

事業構想事例研究(通称・Jスピーチ)は、年間を通じ企業経営・政策・クリエイティブの各分野で第一線のゲストを迎え構想の本質を聞くリレー講義だ。年度内最終回となる40回目の3月7日、大学院修了生2名を迎え、構想の進展と現在の活躍を聞いた。

3期生の小笠原嘉紀氏は開発・品質管理へ従事後、マーケティングを経て商品全体の販売構想を描くようになった。「創造型教育」を推進するサービスで事業構想修士号(MPD)を取得し、現在は若手社員を率いた新事業部で、老舗企業の新しいブランドイメージ創出に取り組む。

2期生の小野寺孝晃氏は、IT企業での経験が長かったが、東日本大震災を機に出身地である福島県へ貢献意欲を高め、MPD取得後は高いITスキルを生かして、課題意識ある地域の人材をつなげるプラットフォームづくりに取り組む。

両氏とも大学院在学中に培った柔軟なクリエイティビティと幅広いフットワークで、社会が願っているニーズを形にしていく様子がうかがえた。

講義の司会進行を務める田中学長(写真最右)と語る、小笠原氏・小野寺氏の両名。

修了生の活躍

小笠原 嘉紀(おがさわら・よしき)
2014年度入学・3期生
(伊藤園 デジタルコミュニケーション室)

多彩な切り口で「茶」の魅力を発信

お茶には「古めかしい・堅苦しい」イメージがありますよね。でもちょっとした捻りで楽しさが見えてきます。実は緑茶はシリコンバレーのイノベーターも大好きで、集中力とクリエイティビティの源泉。有名人や人気キャラクターを広告に取り入れたり、大学院の同期生とコラボレーションを試みたり、アイデアと人的資源をフル活用しています。喫茶を取り入れたハッカソンも期待以上の好反響に驚いています。

緑茶だけでなく、個人的に好きな麦茶も飲んでもらいたいと思い、太いボトルの「健康ミネラル麦茶」や「キャプテン翼」と連動したスポーツ飲料としての販促に取り組みました。

2年間の修士課程を修了した実感は「舞台に立て」。お仕事をご一緒する同志社女子大学の上田信行先生のお言葉です。気後れしないで「遊び」に没頭すれば自分の殻も破れ、人とつながり新しい事に飛び込めるのです。

 

小野寺 孝晃(おのでら・たかあき)
2013年度入学・2期生
(NPO法人TATAKIAGE Japan)

アイデア×人で地域にスポットを

福島県いわき市で高校卒業まで過ごし、大学卒業後、東京のIT企業で新事業開発に従事していました。東日本大震災で「自分でも地元に何か貢献したい」と思い、事業構想修士を取得後にUターンしNPOを立ち上げました。大学院とIT業界で培ったアイデアを基に「町を楽しくするためのコンテンツづくり」に取り組んでいます。

若者が進学とともに東京へ流出する地元は、他の地域と似た課題に直面していますが、震災復興で人口が流入する特殊事情もあります。浜通りを拠点に地域の人々を巻き込んで「浜魂(ハマコン)」を運営しています。プロジェクトの核をコアメンバーで作り、アイデアとそれを実現する人を掛け合わせ、社会課題の解決を目指しています。

初めは手探りでしたが、経済産業省や復興庁など、震災後支援に関わる省庁との連携や、個別コンサルティングを積み重ねています。地域の新事業を志す方たちにスポットが当たる流れを続けていきたいと思っています。