2018年1月号

構想を実現する戦略広報

ライフネット創業者 出口治明氏が語る「経営者のSNS活用」

出口 治明(ライフネット生命保険 創業者)

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出口 治明(ライフネット生命保険 創業者)

信頼を得ずして生き残れない

上野:今年度の「第33回企業広報賞」(経済広報センター)で、選考委員会特別賞に選ばれました。日ごろから心がけていることはどんなことですか。

出口:シンプルですが「正直に話す」ことです。聞かれたことは何でも正直にお話しするようにしています。

「保険料を半分にして、若い人たちが安心して赤ちゃんを産み育てられる社会を創りたい」という考えから、2006年にこの会社を立ち上げました。当初、「ネット証券やネット銀行が世界にあるので、ネット生保も先行モデルがあるはず」と思っていたのですが、いくら調べても見つかりませんでした。生保は長期の買い物なので、信頼できない会社の商品を誰も買ってくれない。結局、会社の信頼を獲得するところから始めました。

その時ヒントをくださったのが、さわかみ投信の澤上篤人さんです。「僕のように本を書き『辻説法』を続けていけば、10年そこそこでブランドはできるはず」。ではやってみようと。出版社からオファーがあれば受けますし、10人集まったらどこへでも講演に行きます。

企業広報賞ではSNS活用も評価いただきました。始まりは20代の部下から、今日からTwitterをやってくださいと言われたことです。「なんで」と聞いたら、「保険会社のトップは誰もやっていないから差別化になります。普段僕らに、人のやらないことをやれと言ってますよね。まさか有言不実行ではないでしょうね」と半ば脅されて始めたのです。ところが、やってみたらけっこう面白い。澤上さんに言われたことと部下に言われたことを愚直に10年間やり続けてきただけです。

生命保険の原点に回帰

出口:「正直に経営し情報公開を徹底する」「わかりやすくする」「安くする」「便利にする」この4つを当社のマニフェストとして掲げました。

上野:シンプルで本質を突いていて、従来われわれが感じている保険のイメージとずいぶん違いますよね。

出口:近代生保のモデルは、約250年前に数学者のジェームズ・ドドソンが考案しました。彼が考えた生命保険は、シンプルで安価なものだった。その原点に戻ったのがライフネット生命です。どんなことでも誕生した時にその本質があるというのが僕の考えです。

上野:「正直」「誠実」という仕事の美意識は、歴史を学ぶところから得られたのでしょうね。

出口:歴史を見ると、正直で正道を歩んだ人がだいたい勝っています。将来何が起こるかは誰にも分からない。昔の人はどう考えたのか。世界の人はどう考えているのか。歴史を学ぶ意味はそこにあります。世界は自分の足で歩いて初めて分かるものです。だから僕は「人」「本」「旅」が基本で、たくさん人に会い、たくさん本を読み、たくさん旅をする。それ以外に人間が賢くなることはできないと思っています。

《聞き手》
社会情報大学院大学 学長 上野征洋氏

 

出口 治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険 創業者
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