デザインエンジニアやNHKディレクターが登壇 事業構想スピーチ

革新のエッセンスを聞き
自身の構想に摂取

事業構想大学院大学の授業の中でも、「事業構想事例研究(Jスピーチ、事業構想スピーチ)」は、年間 150 人を超える各界一線の事業家・有識者をゲスト講師として招聘し、その論理やアイデアを聞く内容で、本学大学院生からも好評の講義だ。講演と質疑応答で計120分から構成されるが、講師の白熱する語りや院生からの鋭い質問の数々で、所定の授業時間を延長することも少なくない。通常授業が休講になる夏季期間中も、多分野に亘る講師陣が登壇した。

8月9日には英国留学および現地デザイナーとの厳しい研鑽を経て、アートとテクノロジーの両面に精通するエンジニア・田川欣哉氏(Takram 代表)が登壇。近年、各方面で注目の集まる「デザイン駆動型のイノベーション」を紹介し、各分野の知見をどう結集し革新を起こすかを披露した。

8月23日に講演した小国士朗氏(NHK制作局 開発推進ディレクター)は、「組織の資源を足元から最大限に活用し、イノベーションを起こす」をテーマに講演。所属先に抱かれがちな「お堅い」イメージを逆手に取り、「1.5チャンネル」や「タイムマシンアプリ」、各種ソーシャルネットワークで話題沸騰の「注文をまちがえる料理店」など、ギャップを活かした数々の企画開発を紹介した。

9月13日に登壇した牟田太陽氏(日本経営合理化協会 理事長)は、アイルランドでの飲食業経験を経て、創業者・後継者の経営者支援を行なう社長専門コンサルタントへ転身。自身も同協会の創業者である牟田學氏の「承継者」という立場から、承継者の持つべき理念と戦略・戦術、また承継の際に生じやすい親子確執を解消するコミュニケーションの重要性を説いた。

夏季の事業構想スピーチに登壇した講師陣。左から田川欣哉、小国士朗、牟田太陽の各氏


自らの治療経験をへて 夢の実現へ

河原田 茉莉
(コーセー 商品開発部
2016年入学・5期生

現職では、実現したい夢を実現する方法がないか模索していました。MBA取得も検討していましたが、誰もが未経験の新しいことに触れたい、また認知度が低い分、在学生には面白い人が多いだろう、という思いから魅力を感じ入学しました。

私は生まれつき顔面半分にアザがあり、医療と美容を組み合わせて治療していました。ファンデーションでアザを完全に隠すことができたときは本当に感動しましたが、他方でその存在を知らず悩む人も多数おられます。もともと医療業界志望でしたが、この経験をきっかけに、悩める人たちの助けになりたいという思いが募り、化粧品会社に入りました。正しい情報や価値を、必要とする人たちにどうやって伝えるべきかを学ぶため、営業志望で入社し、その後製品開発に移りました。

1年間の学修や先生方との相談の中で、「正しい情報」の伝達だけでなく、共有の大切さに気付きました。2年次では、美容の力を商品だけではなく、体験という形で提供する構想を考えています。

同じ20代で、進学を考える人へ

大学院では、社内で上司にあたる世代の方々が同級生にいらっしゃいます。交流は自分の財産になっています。普段周りに語れないことでも、学内では真剣に考え語り合うことができます。同級生との議論の中で、最近、社会的意義と共にマネタイズの部分を意識し始めました。

通学には時間とお金が心配ですが、時間は仕事の効率化・朝型へのシフトなど通いながら解決していきました。資金面では会社の自己啓発制度を活用しています。

失敗してもやり直しできる時間はあります。そうなったときに、周りにアドバイスを求められる環境があるのが、この大学院です。「会社に言っても自分の発言は受け入れられないな...」と諦める前に門を叩いてみてはいかがでしょうか。