フランスでTV通販スタート 化粧品に姿を変え世界に挑む大島紬
奄美大島の伝統産業・大島紬からヒントを得た、シルク化粧品の製造販売で成長するアーダン。今春からフランスでTV通販をスタート、医療分野にも進出予定であるなど、あらゆる分野に挑戦。シルク産業の再生を目指す。
奄美大島は、西暦700年代から養蚕と絹織物の歴史があり、江戸時代以降は「大島紬」として最高級品着物の産地として認知されてきた。男性が染め、女性が機を織るという分業体制による大島紬は、島の基幹産業であったが、近年は中国やインドの絹糸や織物にシェアを奪われ、衰退の一途をたどる。
この島に本社を置き、絹(シルク)を主原料とした化粧品の開発・製造によってシルク産業を蘇らせようとしている企業がアーダンだ。島内に養蚕施設や工場を構え、地域の雇用に大きく貢献。近年は海外への本格的な進出も始めている。
母親の起業にアドバイス
シルクと肌の相性に着目
シルクの化粧品への活用を考えたのは、現社長である西博顯(にし・ひろひと)氏のアイデアだった。会社の創業者である西社長の実母・西里依氏が化粧品会社設立を考えた際に、アドバイスしたのがきっかけ。会社創業の1995年当時、西社長は京都大学医学部を卒業し、大学研究室に勤務していた。
「シルクは長く手術の縫合糸に使われてきており、そのアミノ酸組成は人間の身体に近く、皮膚と大変相性のよい素材です。また私の母親は大島紬の織り子であり、シルクを普段手にしている織り子は皆、手が綺麗でした。これは化粧品としても優れた素材ではないかと思いました。母親も自然素材の化粧品を作りたいと考えていましたので、地元産業であるシルクを使った化粧品を開発することにしたのです」
西氏は化粧品の厚生労働省への認可申請や商品開発のサポートなどで事業を支え、2009年ごろから本格的にアーダンへ参加。2010年には代表取締役へ就任し、新たな販路開拓や商品開発を目指し積極的な舵取りを行っている。絹の成分を贅沢に最大限配合し、界面活性剤を一切使わない女性向け化粧品(スキンケアローションやシャンプーなど)で、国内に幅広い販路を持つ。
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