2016年3月号
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プロジェクトニッポン 滋賀県

伝統工芸の職人とデザイナーが結束 滋賀の「尖った魅力」を発信

佐藤 典司(立命館大学経営学部教授、Design Management Lab代表)

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伝統工芸を活かした地域ブランド・プロジェクトで、ADC賞グランプリを受賞。「マザーレイクプロダクツ」は、滋賀が持つポテンシャルを引き出すことに成功している。

琵琶湖近隣で、陶器、木工、麻、ちりめん、漆、仏具などを生業とする職人と、デザインチーム「キギ」が協働するブランド「KIKOF」。第1弾のプロダクトとして、信楽焼の器が生み出された

――佐藤先生は、滋賀でデザイン性の高い伝統工芸品づくりを行うプロジェクト「マザーレイクプロダクツ」に携わっています。きっかけは、何だったのですか。

佐藤 2004年に行われた日経リサーチの地域ブランド調査において、滋賀は最下位の47位でした。

その翌年、当時、県の商業と観光を担当されていた方が私の元に来られ、現状打破に向けて相談を受けました。その流れから県の経済同友会が主体となり、滋賀の地域ブランドを考える研究会が発足したのですが、それは2009年に終了しました。

その後、今度は商業振興課から、ものづくりを通して滋賀の地域ブランドを考えて欲しいという依頼があり、琵琶湖周辺の信楽焼や浜ちりめん、近江の麻、彦根の漆、木珠などを製作されている方々とプロジェクトをスタートさせ、それが現在まで続く「マザーレイクプロダクツ」の基礎になっています。

佐藤典司(立命館大学経営学部教授、Design Management Lab代表)

埋没していた滋賀の「魅力」

――プロジェクトを開始した当初、滋賀の課題をどう見ていましたか。

佐藤 滋賀は琵琶湖の周りに、長浜や近江八幡、草津や彦根など、10万人規模のまちが並んでいます。それぞれのまちは素晴らしい魅力を持っているのに、中心となる巨大都市がないためか、県全体としては足並みが揃っていませんでした。

当初は、何をコンセプトにして特徴を打ち出すかを考えあぐねている、という感じでした。

――確かに、滋賀のまちは、明確にイメージできる特徴には乏しいかもしれません。

佐藤 課題はありますが、滋賀の自治体は、どこも本当にしっかりしています。全国には、衰退しているにもかかわらず、何の対策も講じられていない商店街があります。しかし、滋賀にはそういったケースがほとんどありません。

これは、あくまで私見ですが、滋賀の人々は京都や大阪と比べて、かなり中長期的に物事を見ていると思います。まちづくりに関しても、近江商人の真摯な精神が、現代にまで息づいているように感じます。

そういう意味では、ランキング47位という結果にも悲観していませんでした。最下位から始めるので、上がっていく一方ですし(笑)。

滋賀の場合、琵琶湖が最大のアピールポイントになるのは誰でも思いつくことですが、行政は県全体に気を配らなければいけないので、その魅力を上手く伝えられないでいる。それを何とかしようという意味でも、興味を覚えたのです。

滋賀の伝統産業をアピールするにしても、その前提として、他の自治体が真似できない日本一の湖・琵琶湖を核とすることを、「マザーレイクプロダクツ」のコンセプトとしています。

「KIKOF」がもたらした成果

――「マザーレイクプロダクツ」について、これまでの成果をどのように見ていますか。

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