「小布施若者会議」 交流が産んだイノベーション創出都市

2012年から長野県小布施町がスタートした「小布施若者会議」。全国の若者が集まり、地域のあり方や課題解決型ビジネスを議論する。地元での起業や、大企業と町のコラボレーションなど、数多くの成果が生まれている。

全国から35歳以下の若者が集う「小布施若者会議」

地元住民もホームステイや空間提供、議論参加で若者会議に関与

若者たちが未来を語り合う

小布施若者会議とは、全国から35歳以下の若者を長野県小布施町に集め、2泊3日の日程で、地域や日本のあり方や、地域ビジネスのアイデアを考案するインキュベーションプログラム。2012年にスタートし、毎年、多様なバックグラウンドを持った若者100人以上が小布施に集う。

3日間は、まちを知る1日目(フィールドワーク)、具体的なアウトプットを生み出す2日目(ディスカッション)、発信する3日目(プレゼンテーション)、というスケジュールだ。

会議中の講演やトークセッションでは、観光、コミュニティ、食と農、教育などの領域で地域活性に取り組むフロントランナーが参加。地元住民も会議に全面的に協力しており、参加者のホームステイを受け入れて交流するほか、フィールドワークではお寺や農場などで地域住民と参加者が一緒に議論し、地域のリアルな課題や想いを伝えていく。2日目夜の「オールナイト・セッション」では、文字通り徹夜で、参加者の気の済むまで議論を続け、プレゼン準備を行っていく。

濃密な3日間を共有した参加者の学生や社会人の間には、強靭な絆が生まれる。会議参加をきっかけに、ベンチャービジネスを起こしたり、小布施町に半移住したり、町と大企業のコラボレーションが生まれるなど、さまざまな好事例が生まれている。

ソフト主体のまちづくりへ移行

人口約1万1000人、長野県で一番面積の小さな自治体である小布施町。江戸時代には交通の要衝として栄え、葛飾北斎が縁あって晩年に4度も小布施町を訪れて複数の作品を残すなど、文化的にも奥深い町だ。しかし明治以降は交通環境の変化などで町は一気に衰退、「100年間眠った町」とも言われた。

1980年代以降、小布施町では行政と地元企業、住民が連携した観光まちづくり事業を推進。古い町並みを活かしながら、コンセプトに沿った新しい景観をつくる「町並み修景事業」が1982年にスタートし、葛飾北斎ゆかりの北斎館(1976年開館)の周辺で、栗の間伐材を敷き詰めた遊歩道を整備するなど観光客受け入れ体制を整備。住民主体の「オープンガーデン」や、地元名産の栗菓子も全国的な知名度になり、現在は年間100万人を超える観光客が訪れる。

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