「燕三条 工場の祭典」 見られることで地場産業が変わる

町工場をピンクストライプが彩る。普段は閉ざされた工場が開放され、モノづくりの現場を見学、体験できる「燕三条 工場(こうば)の祭典」。2015年で3回目の開催となったイベントには、4日間で県内外から1万9000人が訪れ、地域活性のエンジンとなっている。

普段は閉ざされた工場を開放する「燕三条 工場の祭典」。2015年は68工場が参加した

新潟県のほぼ中央に位置する燕三条地域は、江戸時代から続く金属加工産業の集積地だ。刃物や金属洋食器をはじめプレス、鍛造、機械加工など優れた技術を持つ中小企業4000社が集積し、人口比あたり日本一社長が多い街とも言われる。

しかし、三条市経済部商工課の渋谷一真主事は、「モノづくりの町と言いながら、その雰囲気が感じられないのが地域の課題でした」と話す。

企業の6~7割が下請メーカーであり、高い技術力を持っていても基本的に自社製品は持たない。最終製品を製造している工場も、問屋ブランドが前に出て、社名が知られることが少ない。流通構造の変化や、生産コストの安いアジア諸国の台頭、担い手の高齢化などで、経営難に苦しむ工場も少なくない。

「モノづくりの町の財産は工場にあります。工場を活用して人を呼び込むことができないかと考えたのが、工場の祭典でした」(渋谷主事)。

左)山田立 玉川堂番頭、右)渋谷一真 三条市経済部商工課主事

開かれた工場をピンクストライプでデザイン

工場の祭典の前身となったのは、2012年まで開催していた「越後三条鍛冶まつり」。物販中心のイベントだったが、物販だけでは商品の魅力がいま一つ伝わらない。ある刃物メーカーが「まつり期間だけでも工場をオープンにし、製造現場を見てもらっては...」と提案したのが、大々的な工場見学イベント誕生のきっかけとなった。

イベントの実行委員会は、工場、三条市、燕市、燕三条地場産業振興センターと外部クリエイターで構成される。「工場の祭典」というネーミング、「開け、工場」というコンセプトなど、肝となる部分は職人が自ら考えた。あえて工場(こうば)としたのは、小規模で手仕事、職人仕事系の企業が多いからだ。

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