新規事業の鍵は「社会」と「社内」の間にあり 存在意義の再構築

本連載では、「社会価値を組み込んだ新規事業開発」をテーマに、実践者のインタビューを通して、新しい事業構想を生み出す方法とポイントを紹介していく。初回は、社会価値と新規事業の関係について考察する。

近年、ソーシャルビジネス、CSV(共通価値の創造)、事業による社会貢献など、企業活動が社会貢献と連動する取り組みに関心と期待が高まってきている。また、社会課題を基点に新たな顧客の潜在ニーズを見出し、事業機会の開発を目指す考え方が注目され始めている。本連載では、「社会価値を取り込んだ新規事業開発」を実現した実践者のインタビューを通じて、事業構想の実現に向けた考え方、行動、企業で想定される壁の乗り越え方を紹介していく。

新規事業の鍵は社是や自社の歴史の問い直し

初回は、連載のテーマ「社会価値を取り込んだ新規事業開発」について考察する。NPO法人ミラツクでは、連載と並行して同テーマで研究プロジェクトを行っている。事前に行った10名の新規事業開発の実践者インタビューより、スタートから実行に至るプロセスとして図のような仮説が見出された。

今回、最も大きな発見は、新規事業のきっかけが、社是や自社の歴史を元にした「会社の存在意義の問い直し」だったことだ。存在意義に立ち戻り、再構築し、会社の一員としてのあり方を考えていくと、結果的に社会価値が組み込まれた事業になっていた。従来は、社会課題を基点として考えることが前提であったり、社会課題に近いプレイヤーとの恊働が必要だと言われてきた。また、社是や自社の歴史を元にすると、よく新規事業の壁と言われる “上司、上役の説得”や“社内の人達の巻込み”がしやすくなり、それらの壁を突破する力を生み出していることも印象的であった。「このままでは生き残れない」と危機感を持っている人、新規事業や新しい取り組みをするように言われている人にとって、本連載はヒントになるだろう。

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