2016年1月号

サロンスピーチ

Francfrancの経営者が語る 高付加価値を生み出す発想

髙島 郁夫(バルス 代表取締役社長)

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ブランドを作り、ブランドのライフステージに沿って育てる秘訣とは何か。20年以上続く「Francfranc」、新しい発想で2011年に生まれた「WTW」など6ブランドを持つバルス。創業者である髙島郁夫社長がその仕組みを話した。

WTWは「ナチュラル」というテーマから約3年間アイデアを練り、2011年に誕生したブランド(Photo by Nacasa & Partners Inc.)

Francfranc、BALS TOKYO、WTWなど数々のブランドを立ち上げ、人々のライフスタイルに浸透させている会社、バルス(BALS)。その社名はBasic、Art、Life、Styleの頭文字であり、本当の豊かさを求める企業として、バブル崩壊後の1990年に創業。現在は全てのブランドを合わせて国内外に149店舗を持つ。

企業のミッションを「VALUE by DESIGN」と掲げる。商品だけでなく、サービスやアウトプット全てをデザインし、価値を生み出すことを社としての目標とする。代表取締役社長の髙島郁夫氏は「日常の中で価値を生み出すために重要なこと一つは、創造性」と語り、「Fun」「Creativity」「Hospitality」をバリューとしている。

ブランドはどうやって生まれたか

6つのブランドを持つが、ハイエンドクラス向け、アッパーミドル向けなどターゲットも異なった展開をしている。髙島氏はブランドが孵化するまでの流れを6つの段階に分けている。1テーマ、2引き出し、3情報、4辛抱、5鍵、6始動、である。これらの段階を2011年にオープンしたWTWのブランドで説明した。

「世の中の動きを見て、最近ナチュラル志向の人が増えていることに気づき、まずは『ナチュラル』をテーマに決めました。そして、ナチュラルなライフスタイルを提供するブランドとして『引き出し』を作りました」

すると、オーガニック、エコ、素材など、関連する情報が、自分の引き出しの中に集まってきた。しかし情報は集まるものの、それらをまとめる言葉がないことに気がつく。「料理でたとえると、食材は集まっているのに何の料理をつくるかが決まっていない状態だった」という。

髙島氏は、自身の趣味であるサーフィンで海に行き、海に浮かんでいる時にふと気がついた。浮かびながら感じる、海の感覚、自然の感覚、それらを顧客に伝えたい、これがナチュラルだと思った。それらの鍵として浮かんだ言葉が「SURF」だったのだ。この鍵を中心にコンセプト、場所、商品など決め、WTWの誕生へとつながった。テーマを見つけてから始動まで、約3年ほどだった。

2011年に東京・青山で第1号店をオープン。その後、二子玉川、博多、大阪の駅ビルに出店をしていった。

「当初はWTWは駅ビルではなく、人通りが少なく排他的な場所に店舗を出そうと思っていました。サーファーは他の人がやっていないから、サーフィンをやることがかっこいいと思っている人が多い。だからこそ、WTWに来るお客さんは、誰でも知っているお店を望んでいない、そう思ったのです」

その思いは的中したのか、駅ビルの成果は思わしくなく、翌年大阪と博多の店舗をクローズした。その後、神戸の元町、大阪に路面店を出店。人通りがあまり多くない場所を選んだ。2015年4月には、スピンアウト業態としてWTW SURFCLUBを原宿にオープン。さらにとがった店作りを目指し、モノトーンの色調の商品のみを取り揃えた。

メジャーになることを求めていないブランド。広告を大々的にうつことはない。いわゆるインフルエンサーも使わず、SNSでスタッフが日々配信をしている。湘南の波の写真なども交えながら、商品の入荷情報やおすすめを伝えている。さらに鮮度の高い売り場をつくるため、大量仕入れ・大量販売はしない。そういった希少価値のある販売手法も特徴的で、ファンは増えている。

髙島郁夫(バルス 代表取締役社長)

ブランド事業としての仕組みづくり

次に、ブランドを立ち上げた後、どのような仕組みを作っていくのか。23年続くFrancfrancを例に紹介した。ブランドコンセプトは、「何気ない毎日を『楽しい生活』に。」全国に109店舗、海外に5店舗展開するブランドだ。

「ブランドにはライフステージがあります。ブランド誕生後、量的発展期が訪れます。しかしFrancfrancを全国に1000店舗作るのは現実的ではありません。100店舗でも売上を伸ばすには、『質的発展』をすればよいのです」髙島氏はブランドを育てるには、3つの「化」があるという。「変化」「進化」「深化」である。

「この3つの『化』が質的発展をする段階で重要。人は同じものを提供すると飽きるので、常に新しいテーマを設定し、変化のある売り場作りをする。年間3000アイテムの新商品をつくる。このような変化を続けています」

次は「進化」である。Francfrancはブランド立ち上げ時、25歳の女性をターゲットにしていた。しかし、今は50歳でも乙女心を持つ人もいれば、10代でも大人女性を目指す人もいる。その意識の進化に沿い、現在は「マインドの25歳」をターゲットにしている。

最後の「深化」では、デザインを含めた商品の質向上、マーチャンダイジングの精度アップ、接客力の向上などを普遍的なことを掘り下げている。

「これからのブランド事業で必要なのは、お客さんに、何の価値をもたらし、伝え、その価値をどう発展させ、その先にどこを目指すのか、それを明確にすることです」

「ブランドを生み、育て続ける」バルスの創造性あるブランドづくりに今後も期待が高まる。

髙島郁夫(たかしま・ふみお)
バルス 代表取締役社長
 


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