農村で本気のフレンチ、年3万人が訪れるレストランに

1haもの広大なハーブ園と、そこで採れたハーブを使ったフレンチイタリアンで、県内外から多くの人が訪れる花農場あわの。立ち上げたのは、地元農家の女性8人。創業から16年を経てなお、新たなチャレンジでファンを増やし続けている。

栃木県鹿沼市にある農家レストラン「花農場あわの」。採れたての野菜やハーブを使った料理、ハーブ園散策を楽しめる

木々の緑が目に優しく、ほのかにハーブが香る風が頬をなでる。ドライフラワーづくりが趣味の8人の女性たちが、“スローフード、スローライフの農家レストラン”を生み出した。鹿沼市粟野の生活改善グループ(現:全国生活研究グループ)の代表を務めていた若林ふみ子氏は、ドライフラワーに使うハーブを育成するうち、「ハーブを使った料理を地元で味わってもらいたい」と考えるようになった。

若林ふみ子 花農場あわの 代表取締役

「ハーブの魅力は、その香り。活かすなら、フレンチやイタリアンだと思いました。でも、誰もそういった料理をつくったことがなかったんです」

人を魅了するためには、プロの味が必要だと考えた若林氏。県の農村振興課に相談したところ、フレンチシェフ・音羽和紀氏を紹介された。

「『料理を教えてください』と直談判したら最初は困惑気味......。私たちの思いを伝えたくて、『とりあえず土地を見に来て下さい』とお願いしました。結果的に、この風景を気に入っていただき、『一緒に頑張りましょう』と言ってもらえたんです」

1997年に「花農場あわの」設立準備会が発足。1年間、メンバーは交代で音羽シェフのもとに通い、前菜、パスタやリゾット、デザートといった一通りの料理と接客を学んだ。午前中は農作業、午後は料理の毎日。同時にこんにゃく畑だった土地を開墾し、みんなでハーブを植えていった。

「やりたい! という強い気持ちがすべて。前だけを見ていましたね」

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