ビール工房をつくった衛生検査会社 地方企業×地域活性化に商機
今年5月、徳島県上勝町に小さなビール工房がオープン。仕掛けたのは、県内の衛生検査コンサルティング会社だ。全くの異業種が、地域活性化事業に取り組むのは何故か。
上勝町に生まれた新名所
四国で一番小さな上勝町には、ゴミ焼却場もなく、ゴミ収集車も走っていない。ゴミは各自が集積所に持ち込み、資源として再利用可能な34分別に従って廃棄する。浪費や無駄を省き、ゴミを出さないシンプルな暮らしにこそ本当の豊かさがあると、東京オリンピックと同じ2020年までに焼却・埋め立てゴミをなくすことを目指し、2003年に全国に先駆けて「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言」をした町としても今、注目を浴びている。
その町に今年5月、『RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store』がオープンした(以下『R&W』)。クラフトビールの醸造所とテイスティングスタンド、BBQガーデン、ゼネラルストアで構成された施設は、上勝町が取り組むゼロ・ウェイストの活動を背景に、リユース、リデュース、リサイクルの取り組みを洗練されたデザインで提言。ゴミ集積所にあった家具や資材を積極的に活用することで、ゼロ・ウェイストの活動そのものが、クリエイティブで格好良いと、インパクトをもって伝えている。
ここで製造されるクラフトビールにも、その思想が反映されている。上勝町特産の柑橘柚香(ゆこう)は、ぽん酢等の原料として果汁だけ搾って利用されているが、その際に廃棄される皮をビールの香り付けとして活用した。ほんのり甘い香りが爽やかだ。
できるだけゴミを出さないよう量り売りを先行して始め、容器は持参してもらうよう、リターナブルボトルでの販売は1リットル 4800円(税抜)とあえて高めの設定に。しかし「ボトルが可愛い!」とたちまち売り切れ、続いて販売した330ml入りのボトルビールの売れ行きも好調。このビールを目当てに上勝町を訪れる人達が確実に増えている。
衛生検査会社が地域活性化に取り組む理由
R&Wの代表を務める田中達也氏は、徳島市内の食品衛生コンサルティング会社スペックの社長も兼任している。1970年創業のスペックは、食品メーカーを主なクライアントに食品細菌検査や臨床検査サービスを展開してきた。
なぜ、衛生検査会社が地域活性化事業に取り組むようになったのか。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り72%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。