2015年10月号

外国人を呼び込む 観光・移住のインバウンド市場

魅力を事業化するまちづくり

月刊事業構想 編集部

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地域資源を発掘し、磨き上げ、事業化まで進化させることで、地域の発展に活かす研究会が、自治体、民間事業者、NPO法人が参加しスタートした。地域活性を志す、研究員にその意気込みを聞いた。

政府は、まち・ひと・しごと創生会議の発足をはじめ、2015年を「地方創生元年」と位置づけています。これまでの地域活性化政策とくらべ、今回の地方創生は、自治体間の競争が促され、各地域が、創意工夫をして活力を生み出し、価値を付加し、コストを低減し、生産力をあげ、その地域にあった手法で地域を活性化し、稼ぐ力を身につけ、自立していくことが求められています。地方の役割は非常に大きく、地方創生、地域活性化が日本の将来に直結します。

地域を活性化するための補助金に頼る時代は過ぎ去りました。地域の現場を知らないコンサルティング会社に地域活性化計画の策定を一任した、どの街も同じような横並びの総合戦略では、地域活性は実現できません。地方創生は、各自治体の住民が主役であり、自分たちがこの地域を必ず良くするという情熱を持って取り組まなければなりません。

「エコミュージアム構想」は、地方創生の有効な基本的な考え方として挙げられます。エコミュージアムを実現するには、地域資源を活用し、産業・行政・学校・金融機関・地元住民・メディアが一体となって、地域で考え、地域の個性(文化)を磨き、アピールすることが重要です。

事業構想研究所が主催するエコミュージアム地方創生構想プロジェクト研究に参加している方は、皆それぞれのエコミュージアムの構想を持っています。研究会では、世界のエコミュージアムの動向も掴みながら、それぞれの構想に活かして欲しいと思います。従来のエコミュージアムは単なる博物館でしたが、この研究会で構想するエコミュージアムは、地域全体を博物館としてとらえるため、その産業、雇用、健康など、ヒトの生活の場そのものであります。地域資源を活かして、住民主体となって地域の振興を図る、観光まちづくりです。博物館の原型は、新しい資源を発掘し、保存し、磨き上げ、事業化する、というものですが、まちづくりとまったく同じものです。エコミュージアム構想は、地方創生という今の時代に合致しています。

研究会でのワークショップの様子。左から2人目がファシリテーターの福留先生

高齢者が、自ら健康増進に取り組み、元気に、お洒落をして、趣味を持ち、若い人に負けない活力を持って集まり行き来できる、地域のコミュニティの拠点となる「創年のたまり場」という場づくりを推進し、全国に広げていきたいと考えています。活力を持った健康な人は、それを人に伝えていくという、意識のある方を育成していきたいと思います。エコミュージアム地方創生構想プロジェクト研究では、行政が前向きな目的を持って参加しており、行政との交渉の仕方や、巻き込み方など実践的なことを聞くことができ、自ら研究し、実践するための構想を練り上げる非常に良い場と思い参加しました。

相原富子
事業構想研究所 研究員
株式会社実楽来 代表取締役
食品保健指導士
介護予防運動スペシャリスト

 

2012年7月ラムサール条約登録湿地となった「渡良瀬遊水地」のうち、第2調節池をコア施設に、絶滅危惧種に指定されている貴重な動植物保護、周辺の「ふゆみずたんぼ」で獲れるブランド米・高級淡水魚「ホンモロコ」・ヨシなど地場産業の推進、洪水が多い地域ならではの歴史・文化などをサテライトとして、地域振興と活性化を目的にしている小山市の構想と、今回のエコミュージアム地方創生構想プロジェクト研究が合致しました。行政だけでなく、企業やNPOなどと連携する成功事例を地元に持ち帰り、市の関連振興計画の潤滑油になれるよう、知見、人脈を広げていきたいと思います。また、栃木・茨城・群馬・埼玉の4県6自治体に跨る「渡良瀬遊水地」周辺の地域住民が連携・協力していけるよう、本研究会で、地域の資源を見つめなおし、それらをうまく組み合わせて、まちを創り、人を呼び込み、地域にお金が落ちる持続的な仕組みを構築する、地域振興を推進できる構想を作り上げていきます。

小久保 智史
事業構想研究所 研究員
栃木県小山市 総合政策部 渡良瀬遊水地ラムサール推進課 主査

 

酒々井町を、エコミュージアムのモデル都市にしていきたいと考えています。住民協働課では、行政だけでなく、自治会やNPOなども参画する公益性の高い、新しい公共的な考えでまちづくりを進めています。平成25年には、「まちづくり研究所」を設立しました。高齢者が増え、税収も減る中で、住民活動を活発にして、住民自ら地域課題を解決していこうと活動を始めました。研究所には「青樹堂(せいじゅどう)師範塾」という、まちづくり指導者養成の公民館講座があり、その卒塾生が研究員として、まちの課題を議論し、まちづくりを研究しています。酒々井町には、中世の国史跡などの地域資源が豊富で、それを観光客に案内し、説明するのは地元の住民です。つまり、まち全体を博物館としてとらえ、博物館にいる学芸員の役割を地元の住民が担う、まちづくりに住民が関与していく、新しい公共を実現していきます。

岡野義広
事業構想研究所 研究員
千葉県印旛郡酒々井町 住民協働課 課長
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