「土地と出会う」体験のつくり方 「陶芸」の伝統を観光に活かす

「その土地を知ること」は観光の魅力の一つ。観光振興のためには、「その土地ならでは」の魅力を体験できるコンテンツづくりが重要になる。会津本郷焼の窯元は、時代に合った「陶芸体験」をつくり出すために、挑戦を続けている。
文・山野智久 アソビュー代表取締役

 

福島県会津美里町(旧会津本郷町)周辺を産地とする陶器・陶磁器「会津本郷焼」。約400年の歴史を誇る、東北最古の伝統工芸品でもある

「伝統的な工芸の産地には、産地となった理由があります。その背景となる歴史や風土を、一連のストーリーとして体験してもらうことが大切だと考えています」

そう話すのは福島県会津美里町(旧会津本郷町)周辺を産地とする、会津本郷焼の窯元「酔月窯」の5代目・西田理人氏だ。明治3年(1870年)に創業し、50年ほど前から一般観光客向けの陶芸体験を開催している。

西田理人 窯元「酔月窯」代表

観光客にとって、旅行先の歴史や文化について知ることは旅行の醍醐味の一つである。SNSの普及などにより個人の情報発信が可能となり、有名な観光地の写真はインターネット上で目にする機会が増えた。

非日常が日常化しつつある近年、「見たことのある観光名所巡り」ではなく、「その土地ならではの体験観光」に注目が集まっている。会津本郷焼の陶芸体験も、会津ならではの地の利を活かした体験観光の一例である。

陶芸体験を気軽に短時間で

―会津本郷焼について教えていただけますか。

西田 当窯元でつくられている「会津本郷焼」のルーツは、1593年にさかのぼります。戊辰戦争時に難攻不落の名城とうたわれた、鶴ヶ城の屋根瓦を作成したことが始まりです。陶芸としては東北で最も長い400年の歴史を誇ります。現在では地域内に13の窯元があり、それぞれに特徴のある作品づくりをしています。

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