消費者と向き合う「産直住宅」で林業再生に成功 宮崎県諸塚村

宮崎県諸塚村は、住まい手へ直接木材を届ける「産直住宅」を推進。ここから生まれた安心と信頼は、村の交流人口増加にも寄与している。プロジェクトのキーマンに林業再生への道筋を聞いた。

パッチワークのような諸塚村の山。照葉樹と広葉樹を計画的に植林した成果だ

人口わずか1800人。九州の山村、諸塚村の取り組みが林業再生へのヒントとして注目を集めている。最大のポイントは仲介業者を通さずに山元から住まい手へ直接木材を届ける「産直住宅」を行っていることだ。1997年からスタートさせたこの取り組みは、2014年3月末までの17年間で、344棟の実績を持つまでにいたった。

村の約95%が山林という森と共生している特徴を活かし、都市市民へ向けたエコツーリズム事業「諸塚村木材産地ツアー」も実施。それら一連の活動は諸塚村に暮らす村民にとっても、地域に根付く風土や文化の再評価となり村全体の自信へとつながっている。

仲介業者を通さずに山元から住まい手へ直接木材を届ける「産直住宅」

直販システムで林業の課題を打破

産直住宅の中心メンバーの一人が、諸塚村産業課長の矢房孝広氏だ。大学で建築を学んだ後に東京の設計事務所へ就職。30歳を過ぎてから出身地諸塚村の建築技師募集の声を掛けられ、Uターンすることを決意した。

矢房孝広 諸塚村産業課長

「元職場の周囲からは、信号機やコンビニもない田舎へ戻ることに疑問の声もありましたが、バブル期の都会の空気そのものに『不満はないけれど、どうしようもない不安』を感じていました。お互いの意思が通じ相互扶助が可能な田舎こそ、これからの社会の核になると思ったのです」

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