2014年8月号

社会イノベーションの起こし方

ソーシャルメディアを収益化せよ

飯塚靖大氏(リーチローカル・ジャパン)、玉木欽也氏(青山学院大学経営学部教授)など

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Facebookやtwitterなどのソーシャルメディアは近年、急速に普及したが、一方でその収益事業化には多くの課題がある。コミュニティを成功に導くデザイン手法や人材育成について、専門家による座談会を行った。

左から、飯塚 靖大 氏(リーチローカル・ジャパン)、玉木 欽也 氏(青山学院大学 経営学部 教授)、岸波 宗洋 氏(事業構想大学院大学 准教授)、前 佳聡 氏(大日本印刷)、山崎 浩人 氏(ネオ・アット・オグルヴィ)

今回の座談会の参加者は、ソーシャルコミュニティデザインについて研究している青山学院大学ヒューマン・イノベーション研究センター所長の玉木欽也氏、NPO法人グローバル新世代イノベータ育成協会メンバーの飯塚靖大氏、前佳聡氏、山崎浩人氏。モデレーターは事業構想大学院大学の岸波宗洋准教授が務めた。

いかに収益化するか

岸波 まずソーシャルメディア、ソーシャルコミュニティにおけるビジネスについて、現状をどう捉えていますか?

飯塚 今はまだ黎明期で、収益ビジネスの形を模索している例が多いですね。最近では、ソーシャルとECという、コンテンツと販売が融合された事例が出始めており、注目しています。

山崎 オウンドメディア、ペイドメディアとは違うポテンシャルがありますね。内容によっては、実際に人が動くとか、何かの変革につながるとか、「リアル」な可能性を秘めたプラットフォームだと感じます。ただ、海外ではそういう事例が増える一方で、日本の中ではソーシャルメディアというデジタルの中で完結している。少しダイナミズムに欠けている気はします。

 日本でLINEがこれだけ普及している状況を見ると、Facebookやtwitterなどのアメリカ発のツールが日本人の感性に合っているのかという疑問もあります。より幅広くというより、こじんまりしたほうが日本人の性に合っている気もします。

カギを握るコンセプトとビジョン

岸波 コミュニティそのものが限局的になったほうが日本人に向いているとすると、地域コミュニティでも強みになる可能性があると思いますが、リアルなコミュニティの現状はどうなっているのでしょうか?

玉木 地域おこしはなかなかうまくいっていません。コミュニティを何のために作るのか、理念や目標、ビジネスモデルを考えないままコミュニティ作りをしてしまうから、イベント性が高くで、一過性のお祭りで終わってしまうことが多いです。今、一番の課題は、ソーシャルコミュニティデザインを組織的に考えたり、コンセプトメイキングすることだと思います。

岸波 事業構想大学院大学でも発着想のプロセスで一番大切にしているのは、「理想を掲げて今何をするかを考えること」です。理想なきビジネスは周囲に影響されやすい。コミュニティの運営も、新しい事業も成り立ちは基本的には同じなのでしょう。そういう点も踏まえて今後新しい潮流になり得るような先進的な事例はありますか?

飯塚 「note」という新しいアプリは、個人が作るコンテンツをソーシャルのフィードに流す仕組みですが、そこに課金ができます。小説やイラストなど何でもいいのですが、そこではコンテンツが好きで買うパターンと、買ってから好きになるパターンがある。両方の共感の可能性が生まれるので、注目しています。

岸波 それは確かに新しいですね。ただ、現在は恒常的に収益をあげられるモデルは未開発ではないでしょうか。

山崎 ソーシャルで完結するビジネスである必要はないと思います。既存のビジネスを伸ばすためのツールという考え方もできます。

 ソーシャルメディアはそもそもユーザーが盛り上がる場です。そこで無暗に売り込みをかけると拒否されるのは当然です。ソーシャルメディアの収益化は時間がかかるので、効率を追求すると割に合いません。

岸波 企業はどのような指標を持てば、ソーシャルを活用する意味があると思いますか?

山崎 わかりやすいのはテレビとの対比です。テレビは広く浅く届けるメディアで、ソーシャルは狭く深い関係を作ることを目標にしています。指標はエンゲージメントなどいろいろありますが、世の中は確実に量より質重視の方向に流れていると思いますよ。

作品を公開し、手軽に売買できるウェブサービス「note」。ソーシャルメディアの収益化モデルとして注目される

資格認定プログラムを開発

岸波 なるほど。それでは質を求める場合、どうすればコミュニケーションの質が高まるのでしょうか?

玉木 マスPRと違い、一体感や共有物がある人たちがコミュニティを作っているので、深いコミュニケーションがしやすいことです。意味のないコミュニティを作ってしまうと話が拡散してしまうので、コミュニティをうまくデザインして、それをファシリテーターが誘導してあげれば、ビジネスつながるような深いコミュニケーションも可能でしょう。

岸波 その点でいうと、青山学院大学ではソーシャルコミュニティビジネスにおいてより有益な知識や技術、発想法を持つ人材の資格認定プログラムを開発したそうですね。

玉木 法的、テクニカルなことも含めてソーシャルコミュニティをデザインできる人材の資格認定制度です。ビジネスシーンでは、「ソーシャルコミュニティデザインプロフェッショナル」というソーシャルコミュニティを通して事業創造をできる人材を育成したいと考えています。

ソーシャルコミュニティのキーワードは「創発」。相互に新しいことを発想することで共感が生まれたり、ハーモナイズされていくのだと思います。それを導くことができる人材が今後ますます必要になるでしょう。

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