ニーズを満たす新商品提供の仕組み

赤字状態の組織を“風土”から改革し、業績のV字回復を成し遂げた松井。新商品開発、在庫管理、人材育成などあらゆる仕事を仕組み化した、抜本的な経営改革について、事業構想大学院大学にて講演を行った。

松井忠三 良品計画 代表取締役会長

無印良品は1980年、西友のPB(プライベートブランド)として生まれました。NB(ナショナルブランド)の持つ装飾や無駄を排し、良品を安価で提供するコンセプトは消費者に受け入れられ、一気に広がりました。

無印良品というブランドが生まれて20年。独立して10年ほど経った頃のことでした。38億円の赤字。

1989年には西友から独立して良品計画を設立し、99年には売上高1066億円、経常利益は133億円。順調に業績を伸ばし、「無印神話」とさえ呼ばれていました。しかし2000年に業績が急落し、初めての減益に。 当時の社長は責任を取って辞任し、世間からも「無印良品の時代は終わった」とささやかれる声が聞こえます。そのどん底だった2001年に私は社長に就任しました。

通常、赤字を出した企業がまず手掛けるのは、リストラや早期退職による人件費削減、不採算部門からの撤退、資産売却などでしょう。しかしそれでは根本的な解決になりません。

無印良品に潜む、根本的な原因とは何か。ブランドの“革新的な部分”がお客様のニーズに遅れていることが一番の原因だと思い至りました。“わけあって、安い”というコンセプトの希薄化によりブランド力は下がり、大企業や成長企業にありがちな慢心や危機感の喪失。さらに、セゾングループの体質を受け継ぎ、経験や勘を重視した“経験至上主義”がはびこっていました。

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