AI実装 政策から現場実装まで一気通貫 月刊「事業構想」が自治体職員向け実務研修開催

月刊「事業構想」主催による「自治体・公共の非エンジニア向け 生成AI実務研修」が5月28日、東京・南青山の学校法人先端教育機構 東京校にて開催された。内閣府、デジタル庁、東京都をはじめ、AI活用支援に取り組む民間企業から7組の登壇者が集い、行政におけるAI活用の現状と展望を論じた。対面参加者に加え、オンラインでも多数が視聴した。

登壇者は、内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 人工知能政策推進室の菅田洋一総括参事官、Michikusa株式会社代表取締役でデジタルハリウッド大学特任准教授の臼井拓水氏、事業構想大学院大学客員教授の狩野英司氏、デジタル庁参与・GovTech東京エグゼクティブアドバイザーの浅沼尚氏、テックタッチ株式会社公共・公益事業部事業部長の中西直貴氏、株式会社グラファー代表取締役の石井大地氏、東京都副知事でGovTech東京理事長の宮坂学氏、GovTech東京AIイノベーショングループ長の橋本淳一氏。国のAI政策の全体像から、非エンジニア向けの実務活用、自治体での導入事例、エージェント型AIが拓く行政の未来像まで、政策立案から現場実装まで一気通貫で論じる場となった。

各講演後の質疑応答では、現場を抱える参加者から率直な声が相次いだ。「AIエージェントの導入には概ね賛成だが、地方自治体ではDXが掛け声だけで先行し、業務の見直しやあるべき姿の議論がほとんどされていない。紙ベースや基幹データの整備すら追いついていない現状で、現場の負担が増えているだけに感じる」というオンライン参加者からの問いに対し、浅沼氏は「1人では無理。ステップを踏みながら、国として伴走支援の仕組みを作ることが重要だ」と応じた。

「AIの導入で職員の業務が減っても、それが本来の政策立案や新規事業に振り向けられず、結局何も変わらないという事例が多い。機能している事例を教えてほしい」という会場からの問いには、狩野氏が「AI導入はあくまで手段。どんな課題を解決したいのかを先に明確にし、そこに向けて業務と技術を見直すという順序が大切だ。意識づけと方針の共有が不可欠」と答えた。

「スピード感を持ってAI導入を進めたくても、入札やプロポーザルの調達プロセスが壁になる。導入まで数ヶ月を要する構造的な問題がある。調達の考え方そのものの見直しが必要ではないか」という声には、宮坂氏が「全くその通りで、DXのXは変革であり、制度や法律をどう変えるかが本質。現場の声を国に届けることも我々の役割だ」と述べ、制度改革の必要性を正面から認めた。また、GovTech東京での内製化によって調達制約が一部緩和されていることにも言及した。

本研修の続編として、自治体セキュリティをテーマとしたセミナーが7月に予定されている。なお、本研修のアーカイブ視聴申し込みは現在受付中で、2026年6月中旬頃に配信開始の予定。申し込みは専用ホームページより。