都市人材と地域を結ぶ関係人口プログラム、徳島・美馬で始動 観光庁モデル事業に採択
オカエリハブDAO合同会社は、徳島県美馬市を舞台にした関係人口プログラム「美馬オカエリふるさとプロジェクト」の参加者募集を開始した。都市部のビジネスパーソンやフリーランス、起業家が年4回・2泊3日の滞在を重ねながら、地域の担い手と継続的に関わる仕組みで、観光庁の「第2のふるさとづくりモデル事業(個人版)」に採択されている。
同プロジェクトが目指すのは、単発の来訪を「続く関係」に変換する設計そのものの実証だ。参加者が地域と関わり続けるための「関わり方」を型(モデル)として構築し、その有効性を検証する。前提とするのは移住ではない。観光として訪れれば一度きりで終わり、移住を検討するには覚悟が要る。その中間にある関わり方を「第2のふるさと」として通うところから設計し、その先に二拠点居住や新たな協働、事業機会が自然に生まれる状態を目指す。プログラムは3つの段階で構成される。渡航前の「旅マエ」ではコーディネーターが最初の接点をマッチングし、滞在中の「旅ナカ」では体験から協働まで深さを本人が選べる4段階を用意する。滞在後の「旅アト」では、コミュニティアプリ「DAO+」を関係継続のデジタル基盤として活用し、相談・発信・購入・紹介・次回準備を支える。
協働の対象は、阿波藍・藍染、伝統建具・大工・リノベーション、農業、飲食店、IT・Web3.0、アート・クリエイティブの6分野。年4回の滞在は、体験から実践へと段階を追って関わりを深める設計になっている。第1回は体験やワークショップを通じて地域と顔合わせをし、第2回で現場に入り、地域の仕事と暮らしへの理解を深める。第3回は地域イベント「うだつレトロマーケット」への出店を通じて商いそのものを体験し、第4回では試作・発信・販売支援など実践的な協働へと進む。参加者は自身の関心の度合いに応じて、関わりの深さを選べる。対象は20~40代の都市部人材で、参加費の目安は年間約6万円(交通費別途)としている。
運営体制は、複数の地域主体による分担で組まれている。全体方針の決定・調整を「美馬オカエリ協議会」が担い、参加者募集や伴走支援、コミュニティ運営をオカエリハブDAO合同会社、宿泊・交通の調整を一般社団法人美馬観光ビューロー、地域事業者との調整を美馬市商工会、庁内調整・施策連携を徳島県美馬市が受け持つ。同社は2025年3月設立で、都市部人材と地域を結ぶ関係人口プログラムを運営してきた。
地方への関心を持つ人材と、受け入れ側の「関わりしろ」がうまく接続されていないという課題は、多くの地域に共通する。同プロジェクトは、来訪を一過性で終わらせず継続的な協働へと発展させる方法を、行政・観光・商工の各主体が連携して実証しようとする点に特徴がある。関係人口づくりの具体的なモデルとして、その成果が注目される。