米国の蓄電池製造はまだ順調 トランプ政権の政策次第では遅延などの可能性も
(※本記事は『THE CONVERSATION』に2024年11月1日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています)
アメリカでは、超党派のインフラ投資雇用法やインフレ削減法といった法整備によって、クリーンエネルギー関連の製造業への投資が史上最大規模で活性化している。
これらの法律により、数十億ドルに上る政府の支援金が民間のクリーンエネルギーのサプライチェーンへの投資を全国的に促進している。
この記事の著者であるターナー教授と、ウェルズリー大学の学生たちは長年にわたり、クリーンエネルギー投資を追跡し、「ビッグ・グリーン・マシン」ウェブサイトでデータを公開している。この調査によれば、2022年にインフレ削減法が制定されて以来、企業は総額1270億ドルにおよぶ投資プロジェクト225件を発表し、新たに13万1,000人以上の雇用を創出している。
一方で、こうしたプロジェクトが頓挫や大幅な遅延に直面していると報じられている。2024年8月のフィナンシャル・タイムズはバッテリー製造、再生可能エネルギープロジェクト、金属・水素プロジェクト、半導体工場が含まれる調査対象となった100以上のプロジェクトの40%が遅延していると報じた。また、テクノロジー業界を扱うメディア「The Information」は、バッテリー関連事業の助成プロジェクトのうち4分の1の企業が撤退していると警鐘を鳴らしている。
インフレ削減法が成立して以来、新規建設や拡張が発表された23のバッテリーセル生産工場を調査したところ、ほぼすべての工場が年間1GWh以上のバッテリーセル生産能力を備える「ギガファクトリー」として計画されており、就労機会の規模も非常に大きいことが判明した。
アメリカでのクリーンエネルギー製造ブームが失速するのかを見極めるために調査を行ったが、その結果は概ね楽観的である。
最大規模のバッテリー工場建設は順調に進行中
投資総額を正確に把握するのは難しいが、計画されている資本支出の合計は520億ドルで、年間490GWhのバッテリー生産能力をサポートする見込みである。これは新しい電気自動車約500万台分のバッテリーに相当する。
23件の工場全てが雇用計画を明らかにしているわけではないが、これらの施設は約3万人の新たな雇用を支えることが期待されており、プロジェクトの大半はアメリカ南東部、中西部、南西部に集中している。
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