英国企業に重い税負担が迫る——労働者や経済への影響は?

※本記事は『THE CONVERSATION』に2025年3月20日付で掲載された記事を、許可を得て掲載しています。

接客業は、最も深刻な影響を受ける業種の一つとなる。
接客業は、最も深刻な影響を受ける業種の一つとなる。

英国では、企業に対する大幅な税負担の引き上げが間近に迫っている。2025年4月1日から、従業員に支払う給与のうち5,000ポンドを超える部分に対する企業の国民保険料率が、従来の13.8%から15%に引き上げられる。従来は、9,100ポンド超の給与が課税対象であったため、企業にとっては実質的な増税となる。

この変更に対し、企業経営者からは反発の声が上がっている。昨年秋に制度変更が発表されて以来、多くの企業が、投資や雇用への悪影響を懸念している。介護施設スーパーマーケット、一般医療機関などからも懸念の声が寄せられており、最近の調査では54%の企業が「価格を引き上げる可能性がある」と回答した。

業種によって影響度は異なる。特に影響が大きいとされるのが、接客業界である。この分野では、最低賃金の大幅引き上げ(こちらも4月1日施行)と合わせて、約10億ポンドの追加コストが発生すると見込まれている。こうした要因もあり、製造業の景況感は既に低下しており、年初以降の国内総生産(GDP)の減少にもつながっている。

それでもレイチェル・リーブス財務相は、方針を変更する気配を見せていない。インフラ整備や公共サービスの財源確保、そして「財政の黒字不足(ブラックホール)」への対応として、400億ポンドの税収確保が必要であると主張している。

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