電子政府の最先端エストニア 国民に受け入れられた統一ID制度

エストニアは包括的な国家eIDシステムを導入し、電子政府の利用率は世界で最も高い。この独自のID制度は国内で広く受け入れられている。システムの信頼性はセキュリティに対する国民の関心によって維持されているが、選挙の電子投票においては不十分であるとして専門家から批判されることがある。

バルト三国の1つエストニアは、1918年にロシア帝国から独立した。共産主義国家となったロシア、ソビエト連邦は1919年~20年にかけて、エストニアを支配下に置こうとしたが失敗している。しかし第二次世界大戦中の1939年、独ソ不可侵条約をきっかけにソ連に吸収されることになる。

第二次世界大戦後にソ連の支配が確立すると、その下で激しい同化政策が行われたが、エストニアの人びとはそれを受け入れなかった。ソ連が徐々に弱体化する中、エストニアは独立を求めた最初、かつ最も声高な「ソビエト連邦諸国」の1つであった。1991年に独立を回復すると、西欧諸国との結びつきを強め、2004年にEUに加盟した旧東側諸国の第1波になった。現在、日本の九州本島より一回り大きい国土に、約135万人と沖縄県をやや下回る数の人口が暮らしている。

旧ソ連のシステム
国内パスポートが起点

ソ連は独裁政権であり、全国民に紙の身分証明書「国内パスポート」を発行し、ソ連国内の旅行や雇用、住居、教育、その他の政府サービスへのアクセスを管理していた。これは同時代の他のほとんどの国における紙の身分証明書システムよりも充実しており、かつ堅固なものだった。

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