KOGEI Next 超絶技巧×社会性で 日本のアートを世界に発信

KOGEI Nextは、「超絶技巧」を持つ作家を企業などと結び付け、社会性を帯びた作品を生み出すことに挑む。KOGEI Nextが目指すもの、そして大阪・関西万博に向けた思いについて、その仕掛け人である鐘ヶ江英夫氏(古美術鐘ヶ江)と江口哲平氏(クロステック・マネジメント)に聞いた。

聞き手 : 小宮信彦 事業構想大学院大学特任教授 電通 ソリューション・デザイン局 2025事業推進グループ統括 チーフ・ビジネス共創ディレクター

古美術鐘ヶ江の鐘ヶ江氏(左)と、
クロステック・マネジメントの江口氏(右)

小宮 「超絶技巧」を持つ作家と企業、専門家がコラボレーションするKOGEI Nextが誕生した経緯について聞かせてください。

鐘ヶ江 大学で建築を専攻し、建築設計事務所でアルバイトを経験しましたが、卒業後は父の営む古美術商の仕事に就きました。自分自身がものづくりに関われない歯がゆさを感じ、古美術商としての知識と経験を積みながら、ものづくりと関われるすき間を見つけようとしていました。

日本の工芸の超絶技巧を広める
現代の作家に作品作りを依頼

明治時代に日本人にしか作れないような繊細な工芸品を創造する作家がたくさん生まれたのですが、父はそうした作品を海外に売っており、作品の買い手の9割が海外の方でした。

12年前、ぼくが東京芸大の卒業制作展で作品を見つけ、声をかけたのが自在置物作家の満田晴穂さんであり、それが現在のKOGEI Nextに至る始まりでした。ぼくが古美術商として幕末・明治時代の作家の自在置物を買い、それを満田さんに見せ、それに刺激を受けてさらに良い作品をつくる好循環が生まれました。そこから作家さんが増えていきました。「超絶技巧」とは、工芸作家の優れた技術を表す言葉として、明治学院大学の山下裕二教授がピアノで使われる表現を工芸の世界に持ち込んだものです。今では国内でも注目されるようになり、日本のコレクターも非常に増えました。

小宮 他にはどのような作家がおられるのでしょうか。

鐘ヶ江 作家は埋もれている作家のすごさをわかっています。満田さんから紹介して頂いた中の一人が鉄鍛金家の本郷真也さんです。彼は二、三百年に一人という逸材ではないでしょうか。1枚の鉄板をたたいて造形する幻の技法を、東京藝大を卒業後、自身のアトリエで誰にも教えを請わずに進化させていました。しかし、だれもその価値を理解していませんでした。歴史を知らないためにだれも比較することができず、美術商はおろか本人でさえそのすごさに気づいていなかったのです。

また、前原冬樹さんはプロボクサーから転じて32歳で東京藝大に入学し、首席で卒業した後専門の油絵から木彫りの世界に転じた異色の作家です。鐘ヶ江に所属する作家の中では、大将のような存在です。前原さんがその背中で若い作家たちを引っ張ってくれている様に感じます。

内部の構造まで表現したカラスの像には誤飲した飴の袋が入っている。本郷真也“Visible01”

 

都市鉱山由来の金で作られた蝶。満田晴穂 “自在黄揚羽 -円環-“

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