根拠に基づく施策を立案するために データの利活用で地域DXを実践

今回のフォーラムでは、オンラインでデータ活用ワークショップを開催。自治体で地域活性化の方策を検討する際に出会う3つのケースを題材に、データ活用のエッセンスを学んだ。

浅利 雅士
  楽天グループ データサイエンスコンサルティング部 データコンサルティング&コラボレーション課 シニアマネージャー

今回のフォーラムでは、参加型のセミナーとして、データ活用のワークショップが開催された。講師を務めたのは、楽天グループのデータコンサルティング&コラボレーション課シニアマネージャー、浅利雅士氏だ。同氏はまず、楽天が自治体向けに提供できるデータについて紹介した。

楽天は70を超えるサービスを運営しており、会員は1つのIDで様々なサービスを必要に応じて利用している。ID発行数は1億を超えており、人口カバー率が高い。また複数のサービスを掛け合わせた消費者の行動を把握できることが大きな特徴といえる。ECサイトの楽天市場には、各地域の産品を扱う事業者が集まっているほか、楽天ふるさと納税では、自治体に対してデータ等を活用したサポートをすることで、寄付額の拡大に貢献している。また楽天トラベルのデータからは、観光客に人気の施設やアクティビティなどのデータ分析ができる。

「会員IDにより、様々なマーケティング施策の結果としての行動変容を見ることができ、調査、施策立案、効果検証まで一気に進められるのが大きな特徴です」と浅利氏は話した。

3種類のワークで
データ活用の有効性を体感

その後、浅利氏は3つのケースを紹介し、セミナーの参加者もウェブ投票に参加しながら、データ活用の手順を学んでいった。1つ目のケースは、事業収入目標の設定。2つ目は、クロスサービスによるユーザー増の可能性を探るもの。3つ目は、ターゲットとなるユーザーの特性を知るというものだ。

1つ目の事業収入目標設定で示されたお題は、観光領域で地域を盛り上げようというときの目標値を決めるもの。楽天トラベルを通じた宿泊売上の昨年実績データや、比較対象となる自治体の売上の伸び率などを参考に、どうやってKPIを決めるべきかを考えた。

2つ目のケースでは、ふるさと納税と観光など、異なる2つのサービスを組み合わせて案内するクロスセルを取り上げた。ある町に楽天のサービスからふるさと納税した人の数と、宿泊予約をした人の数が与えられ、それを元に、ふるさと納税しかつ観光の新規ユーザーになりうる人数を予測することに挑戦した。

3つ目のケースでは、観光で訪れた人やふるさと納税をした人の属性データから、関係人口の特徴を把握した。性別や年齢、居住地を見ることで、次にターゲットにすべき潜在顧客層を戦略的に検討できる。

政策立案のための
新たなサービスとは

これら3つの分析では、数学的に複雑な手法は使わなかった。「データさえ適切であれば、簡単な四則演算のみでも役立つ分析ができると思います」と浅利氏は解説した。楽天の地域DX促進プログラムでは、自治体向けの分析ツール「RakuDash」と、データ利活用ワークショップ「RakuDemy」の2つのサービスを用意して、自治体における分析に役立てる計画だ。「RakuDash」は9月上旬にサービス開始を予定している。地域のEコマース事業者の売上や宿泊予約数、ふるさと納税額といった楽天の地域関連データのサマリーを、自治体の施策立案やマーケティング分析のために提供していく。「RakuDemy」は、既に提供が始まっている研修プログラムで、データに基づいたマーケティングプランの方法を実践的に学ぶワークショップである。

「お気軽に相談いただければ、ニーズに合わせて課題解決に最適な提案をさせていただきます」と浅利氏はセミナーを締めくくった。

 

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