EDI国内シェアトップ企業が挑む事業変革 データ連携×AIで「DIGITAL WORK」を実現
EDI(電子データ交換)分野で国内トップシェアを誇る株式会社データ・アプリケーション。創業から40周年を迎えた同社は、グループ体制の構築により、AI技術を融合したクラウドサービスの本格展開を通じ、EDI専業企業からデータ連携プラットフォーム企業への転換を図る。VUCA時代においても揺るがない強い企業を目指し、「個人と組織がともに成長し続けるDIGITAL WORKを実現する」というビジョンを掲げる代表取締役社長執行役員の安原武志氏に事業構想を聞いた。

「信頼性」こそが最大の強み
ミッションクリティカルな領域で積み重ねてきた価値
データ・アプリケーション(以下DAL社)は、企業内外のデータ連携を担うソフトウェアを開発・提供する企業だ。EDI分野で国内トップシェアを誇り、受発注、出荷、請求などといったデータを24時間365日つなぎ続けている。
顧客には大手流通企業や物流会社、金融機関など3,000社以上が名を連ねる。仮にデータ・アプリケーションのシステムが1、2時間止まってしまうと、企業間取引のデータが遮断され、スーパーに商品が並ばない、宅配便も届かないといったことが発生する。
「社内の業務システムとは異なり、社会に対して次元の異なる大きな責任を担っています」。
このように、システムが止まることが許されない領域で、同社は40年にわたり「止めない」という責務を果たし、社会に対して価値を提供し続けてきた。これまでの軌跡から「当社の一番の強みは、『信頼性』です」と安原氏は自信をもつ。同社に対する高い信頼性から、顧客との関係も長期にわたる。DAL社のシステム導入した顧客とは、単なる取引先ではなく、ともに成長するパートナーとしての絆を築き、さらなる信頼を重ねていく。
「ミッションクリティカルな領域で長年ご利用いただいてきました。この積み重ねこそが当社の財産です」。
企業間から企業内へ
データ連携市場の拡大を狙う成長戦略
創業40周年の節目となる2025年、同社は新たな中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)を策定した。2028年3月期に売上高60億円、EBITDA10億円、ROE15%以上を目標に掲げ、「事業領域の拡大・開拓」「収益安定性の向上」「人的資本経営の推進」を三本の柱に据える。

成長戦略の核となるのが、EDI市場から企業内を含むデータ連携市場への展開だ。
「EDIは企業と企業をつなぐ技術ですが、その先には企業内でのデータ活用という大きな市場が広がっています。私たちが培ってきた『つなぐ』技術を、企業内のデータ連携にも展開していきます」。
この戦略を実現するため、同社は2024年から2025年にかけて3社をグループに迎え入れた。生成AIを手がける株式会社WEEL、EDI/EAIのビジネスインフラソリューションを提供するデジタルトランスコミュニケーションズ株式会社、AIによる時系列解析とLLM活用に強みを持つ株式会社メロンだ。
「データ連携の技術は蓄積してきましたが、AIの知見をさらに強化したいと考えていました。それぞれの分野で実績のある企業をグループに迎えることで、より大きな価値を生み出せると判断しました」。
これら4社の技術を結集し、当期より市場投入するのが「ACMS Cloud」だ。「つなぐ力をすべての人へ」をコンセプトに掲げ、同社が長年培ってきたデータ連携基盤に、AIによる予兆検知機能やユーザーアシスタント機能を搭載した。予兆検知機能では、AIがシステムの稼働状況を常時監視し、異常の兆候を事前に察知。トラブルが発生する前に対処することで、顧客の業務継続を支援する。ユーザーアシスタント機能では、生成AIが操作をサポートし、専門知識がなくても直感的にシステムを活用できる環境を提供する。

クラウドサービスならではの利点も大きい。従来のオンプレミス環境では、新機能を導入する際にシステムを停止してテストを行う必要があった。ミッションクリティカルな領域で稼働するシステムだけに、その負担は小さくない。
「クラウドであれば、稼働中のシステムに新機能が自動的に追加されます。スマートフォンのアプリと同じように、気づいたら新しい機能が使えるようになっている。お客様はシステムを止めることなく、常に最新の環境をご利用いただけます」。
収益モデルも転換を図る。クラウドサービスの提供を推進し、従来の売り切り型からストック型ビジネスへの移行を進める。
「クラウドならではの付加価値として、AI機能の搭載などを進めています。お客様にとって、移行する価値を実感いただけるサービスを提供していきます」。
道しるべを示す
自律性が生むグループの力
グループ拡大に伴う組織マネジメントにも、同社ならではの考え方がある。安原氏が重視するのは、理念の共有と各社の自律性の両立だ。
「グループ各社に伝えているのは、中期経営計画の三本柱と、目指すべき方向性です。私の役割は道しるべを示すこと。それ以上のことは求めません。大切なのは『同じ方向を向くこと』であって、『同じ色に染まること』ではありません」。
各社がそれぞれの強みを持ってグループに加わっている。その強みを最大限に発揮してもらうためには、画一的な管理ではなく、自律的に動ける環境が必要だという考えだ。
「経営方針を共有した上で、各社が自分たちのやり方で力を発揮してくれる。それがグループ全体の成長につながると考えています」。
人的資本経営の推進も重要な柱だ。同社は「人財は長期的な成長と成功のための重要な資産」と位置づけ、人財ポートフォリオの構築、多様性の向上、エンゲージメント向上、柔軟な働き方の推進に取り組む。グループ内での人財の柔軟な活用も視野に入れ、個人と組織がともに成長できる環境づくりを進めている。
「つなぐ」価値を次世代へ
社会インフラ企業としての使命
同社は「データと一緒にワクワクする未来へ。Connect Data, Connect the World.」というメッセージを掲げている。データをつなぐことで、企業を、社会を、そして世界をつなぐという想いが込められている。技術革新や市場構造の変化が加速するVUCA時代において、安原氏は社会インフラ企業としての使命を強く意識している。
「予測困難な時代だからこそ、止まらないシステムの価値は高まります。私たちは24時間365日、データを安全かつ正確につなぎ続ける。その責任を果たし続けることが使命です」。
「社会インフラを支えているという誇り。それは創業以来変わらない私たちの本質です。技術が進化しても『つなぐ』という価値は残り続ける。その担い手として、現状にとどまることなく新たな挑戦を続けていきます」。
- 安原 武志(やすはら・たけし)氏
- 株式会社データ・アプリケーション 代表取締役社長執行役員